第28話 不健全訓練
家に帰り、義母と義姉に謝罪した。
ふたりから散々ピーピー言われた。
このふたりは、どんな不健全なことを言っているのだろうか?
気になる!
健全神クゥザイ・モーショリめっ!!
絶対にぶっ倒してやるからなっ!!
俺を保護しようとした教会にやって来た。
前、来た時は気付かなかったが、かなりデカい宮殿みたいなところだな。
では、入るか。
応接室と思われる部屋に通され、しばらく待っていると、白い人がやって来た。
「お待たせしてごめんなさいねでごじゃじゃっす」
白い人が、そう言った。
この人も語尾を付けているのか。
「いえ、こちらこそ突然の訪問、申し訳ありません。それと、脱走してしまって申し訳ありませんでした」
「こちらこそ、赤子だと思って、何も言わずに連れて来てしまって申し訳なかったでごじゃじゃっすわ」
「いえ、それは仕方ないことですよ」
「そう言ってくれて助かるでごじゃじゃっすわ」
「それにしても、ヴェーケスード君の成長は早いでごじゃじゃっすわね」
「そうですかね?」
「ええ、早いごじゃじゃっすわよ。不健全力が高い子は、成長が早くなることがあるのでごじゃじゃっすね。以後気を付けないとでごじゃじゃっす」
「自己紹介がまだだったでごじゃじゃっすわね。私は司祭の『イミエマーウ・コーワシモン』でごじゃじゃっすよ」
俺たちも自己紹介をした。
「イミエマーウさん、俺たちは
「いまのヴェーケスード君では危険でごじゃじゃっすよ。教えることはできないでごじゃじゃっすわ」
「なら、試験を受けさせてくださいっ!」
「それも危険だと思うでごじゃじゃっすわ」
ダメか……
なら、勝手に探しに行くしかないのか?
「と言ってしまうと、勝手に探しに行きそうでごじゃじゃっすね」
うっ!?
見抜かれたか!?
「では、こうしましょうでごじゃじゃっす。ヴェーケスード君には、ここで訓練をしてもらうでごじゃじゃっすわ。その結果を見て判断するでごじゃじゃっすわ」
「分かりましたよ!」
「それじゃあ、今日からここに泊まってもらうでごじゃじゃっすわよ」
「分かりました。では、用意して来ますね」
「ええ、分かったでごじゃじゃっすわ」
家に帰り、義母と義姉に訓練を受けることを伝えた。
元々、教会で暮らす予定だったので、義母は了承してくれた。
義姉には、またピーピー言われた。
用意を済ませて、教会に戻った。
今日は訓練はないそうなので、部屋で休んだ。
次の日。
部屋に白い人がやって来た。
「おはようでごっすっす」
白い人が、そう言った。
「おはようございます」
「どちらさんでげすか?」
「私は『カーセフユ・スケギタロ』でごっすっすよ。君の指導員でごっすっすよ。よろしくでごっすっすね」
「そうなんですか。よろしくお願いします」
俺たちも自己紹介をした。
「では、移動しましょうでごっすっす」
「分かりました」
体育館のような場所にやって来た。
ここは室内トレーニング場なのかな?
「それじゃあ、始めましょうでごっすっすか。まずは不健全力を出してみてでごっすっす」
不健全力を?
不健全
俺は目を閉じて、素晴らしき不健全版の世界を思い浮かべた。
「こ、これは、想像以上の不健全力でごっすっすね!? もうやめて良いでごっすっすわよ!」
「分かりました」
「では、今度は不健全なことを考えずに、楽な姿勢でいてでごっすっす」
「分かりました」
「下がり方が緩やかでごっすっすね」
カーセフユさんがストップウォッチのようなものを見ながら、そう言った。
「それはどういうことめっきゅ?」
「不健全力は、時間経過とともに、体から抜け出て行くのでごっすっすよ。いまはその速度を計っているのでごっすっす」
「それで不健全力を計っているんですか?」
「そうでごっすっすよ」
やはりそういうものがあるんだ。
「では、今度は走りながら、不健全力を出してみてでごっすっす」
「分かりましたよ」
うーん、走りながらだと、不健全なことを考えづらいなぁ。
転びそうになったり、壁にぶつかりそうになる。
「先程より不健全力が上がってないでごっすっすわね」
カーセフユさんがストップウォッチのようなものを見ながら、そう言った。
「はい、やめでごっすっす!」
「分かりました」
「今後の課題は、激しく動いている最中でも、不健全力を体内に一定以上キープしておけるようになることでごっすっすね」
それは戦闘中でも不健全なことを考えろということなのか!?
さすがはバカエロゲー!!
「何かをしながら、別なことを考えるのは難しいよおみぃ」
「そうねめっきゅ。何かコツはないのめっきゅ?」
「先程も言った通り、一度出た不健全力は、すぐに消えるわけではないのでごっすっすよ。だから、隙を見て素早く不健全なことを考えて、すぐに頭を切り替えれば良いのでごっすっすよ」
変態的解決策!
さすがはバカエロゲー!!
「不健全力が、体から出て行かないようにすることはできないのもん?」
「その方法は編み出されていないでごっすっすわ」
「そうなんですか」
何か良い手はないものかな?
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