第26話 息子さん大活躍

「こいつをくらいやがれぇっ!!」


「ピィッ!?」


 カイテンショウが、モザイクのかかったドラゴンのようなケンゼンジュウの首を切り落とした。


 ドラゴンのようなケンゼンジュウは消えた。


「どうやら片付いたみたいだな」


「ええ、そのようねめっきゅ」


「みんな、ケガはないもん?」


「特にないぞ」

「我輩もでげすぜ」


 他のみんなもないようだ。


 良かった。



「親父ぃ、エネルギー切れだぜぇ!」


「えっ!? お前、そんなのあるのかよ!?」


「当然だろぉ!」


「まあ、確かに、そうだな。それで、どうやると、補給できるんだ?」


「戻ると良いみたいだぜぇ!!」


「そうなのか? なら、戻ってくれ」


「了解だぜぇ」


 シンヴォルオースノが定位置に戻って来た。


「うっ、なんだか力が抜けていくような気がするぞ……」


「エネルギーを補給しているからだぜぇ」


「そうなんだ。ところで、そのエネルギーって、なんなんだよ?」


「そこは、よく分からねぇぜぇ」


「そうなのか」


 シンヴォルオースノのエネルギーか……


 もしかして、不健全瞑想めいそうでみなぎってくる力なのか?



「アニキ、人が大勢倒れているでげすぜ!」


「というか、起きてる人がいないよもん!」


「救助しよう!」


「了解でげすぜ!」



 倒れている人の近くに来た。


「救助って、何をするんでげすか?」


「血が出ているなら、止血しないと!」


「白いせいで分からないでげすぜ!」


「なら、とりあえず、安静にできる場所まで運ぼう!」


 雪の中に寝せておくわけにはいかないからな!


「どこに運ぶんでげすか!?」


「む、向こうに…… 基地が……」


 倒れている人が指差しながら、そう言った。


「基地? そんなのあるのか? よし、連れて行こう!」


「それなら、もっと大きくなるでげすぜ!」


 ウィンドウさだが、数十人くらい乗れそうな大きさになった。


 お前、こんなにデカくなれるのかよ!?


「さあ、早く乗せるでげすぜ!」


「ああ、そうだな! みんな手伝ってくれ!」


「分かったわめっきゅ!」


 倒れている人たちを全員ウィンドウ貞に乗せて、基地のある方に向かった。



 大きなテントのようなものが並んでいる場所にやって来た。


「ここが基地か!?」


「早くあの中に寝かせてあげましょう!」


「ああ、そうだな!」


「な、なんですか、あれはでごじゃっす!?」


 テントの中から白い人が出て来た。


 でごじゃっす!?

 なんでそんな語尾を付けているんだ!?


 って、そんなのどうでもいいか!!


「ケガ人を運んで来ました! どこに運んだら良いですか!?」


「ケガ人でごじゃっすか!? なら、そこのテントにお願いしますでごじゃっす!!」


「分かりました!」


 ケガ人を全員テントに運んだ。



「うう……」

「い、痛い……」


 ケガ人たちがうめき声を上げている。


 とてもつらそうだ。


「重傷の人が、たくさんいるみたいねめっきゅ」


「ああ、そうだな」


 白いから全然分からないけどな。


「親父ぃ、エネルギー補給完了だぜぇ!」


「ああ、分かったよ」


 それなりに時間がかかるんだな。


「ケガ人がいるみてぇだなぁ!」


「ああ、そうだぞ」


「なら、俺ちゃんに任せておきなぁ!!」


「えっ?」


 シンヴォルオースノが出て来た。


「いくぜぇ! カイフクショウぅっ!!」


 シンヴォルオースノがそう言うと、刀身の先から黄色い水が噴き出てきた。


 ケガ人たちは黄色い水を浴びた。


 すると、ケガ人たちのうめき声が聞こえなくなった。


「もしかして、ケガが治ったのか!?」


「そうみたいですでごじゃっす!」


「いまのはなんなんだ!?」


「聖水魔法の回復魔法だぜぇ!」


「ああ、そういえば、あるって言ってたな。すごいな」


 俺の息子さん、大活躍だな。



「回復魔法ありがとうございましたでごじゃっす!」


 魔法を見ても驚かないのか。

 さすがはバカエロゲーの世界だな。


「お疲れでしょうでごじゃっす! 休んでいってくださいでごじゃっす! さあ、こちらへどうぞでごじゃっす!」


「では、お言葉に甘えるとしようか」


「はい、そうしましょうきゅひゃ…… 寒くて死にそうですきゅひゃ……」


 白い人に付いて行った。



 別のテントにやって来た。


 ストーブ、テーブル、椅子が置いてある。


 食事用のテントなのかな?


「さあ、どうぞ、座ってくださいでごじゃっす!」


 遠慮なく座った。


 ルアレリーネはストーブの前に陣取った。



「どうぞでごじゃっす!」


 温かいお茶と思われるものが入ったマグカップを受け取った。


「ありがとうございます」


「いえいえ、礼を言うのは、こちらの方ですでごじゃっす! ご協力ありがとうございますでごじゃっす! ミステリアスホワイトライト教団を代表し、改めてお礼申し上げますでごじゃっす!!」


「えっ!?」


「えっ!? 聞こえませんでしたでごじゃっすか!?」


「ミステリアスホワイトライト教の方なんですか!?」


「はい、そうですよでごじゃっす!」


 ええええええええええええええええええええっ!?


「あそこで何をやっていたんですか!?」


「何って、あの黒いものの監視ですよでごじゃっす」


「なんのために!?」


「それはもちろん、みんなのため、平和のためでごじゃっす!!」


 ええええええええええええええええええええっ!?

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