第25話 ようやく解消

 廃墟をひと回りしてみた。


「強くなる方法は見つからなかったな」


「そうねめっきゅ」


「ここは地道に、穴を掘る魔法の練習をしていた方が良いんじゃないのおみぃ?」


「そうかもしれないねもん」



「あっ、そうだ。久しぶりに『不健全瞑想めいそう』をしようかな」


 教団に見つかるかもしれないから、やってなかったんだよな。


「何それもん?」


「目を閉じて、不健全なことをひたすら考える修行法だ。なぜか知らないが、それをすると力が湧いてくるんだよ」


「ああ、前、そんなことを言っていたねもん」


「じゃあ、みんなでやってみようぜぇ!」


「ここにもケンゼンジュウがいるのだから、みんなでやるのは、危険なんじゃないのもん?」


「それもそうだな」


「なら、ふた組に分かれて、片方は穴を掘る魔法の練習と周辺警戒、もう片方は不健全瞑想めいそうをすれば良いんじゃないのめっきゅ?」


「なるほど、じゃあ、そうするか」



「周辺探索は、もうしないのですかきゅひゃ?」


「もうやめておきましょうめっきゅ。偶然ソノアヂヴヂグベ山に近付いてしまうかもしれないしねめっきゅ」


「そうだねおみぃ」



 組み分けをした。


「では、始めるか」


「そうねめっきゅ」


 素晴らしき不健全世界よっ!

 我が脳内に現れ出でよっ!!!



 三日後。


「さて、今日も修行をしようか」


「みんな、あれを見ておみぃ!」


 ケーエが穴を掘る魔法の腕で、上空を指差した。


「詰まっていたヤツがいなくなっているな」


「周囲にいた鳥みたいなのもいなくなっているでげすね」


「そうだねもん」



「アニキ、どうするでげすか?」


「うーん、そうだなぁ……」


「あそこから帰れるか試してみた方が良いんじゃないのおみぃ?」


「そうだな。では、行ってみようか」


 ウィンドウさだに乗って、飛び立った。



 黒い円の直下にやって来た。


「ここに入って、大丈夫なのかなもん?」


「鳥みたいなヤツは普通に入っていたんだし、そこまで危険ではないんじゃないか?」


「どうでしょうねめっきゅ?」


「まあ、とりあえず、行ってみよう」


「危険だったら、すぐに引き返そうねもん」


「分かったよ」


 黒い円の中に入った。



「うわぁ、真っ暗だねおみぃ」


「上の方に光が見えるわよめっきゅ」


「行ってみよう」


「了解でげすぜ」



「なんか寒くなってきたな」


「そうですねきゅひゃ……」


「これは元の世界とつながっているからなのだろうか?」


「そうかもしれないわねめっきゅ」


「寒すぎて、つらいですきゅひゃ……」


「ルアレリーネ、リュックサックの中に入っていたらもん?」


「そうしますきゅひゃ」



「「「ピイイィィイイィィィイィィィイィィイイィィィッ!!!!!」」」

「「「ピーピーピーッ!!! ピーピーピーーーーーーッ!!!!!」」」


 光の外から、ケンゼンジュウのうなり声のようなものが聞こえてきた。


「これはもしかして、あの鳥みたいなのが戦っているのかなおみぃ?」


「その可能性が高そうねめっきゅ」


「このまま出て行ったら、危険なんじゃないでげすか?」


「しばらくここで待機してるもん?」


「ここは寒いですきゅひゃ。それはやめて欲しいですねきゅひゃ」


「なら、これでどうだぁ! 出ろぉ、ショウヘキぃっ!!」


 シンヴォルオースノがそう言うと、俺たちは黄色い半透明の何かでできた球状のものに包まれた。 


「これはなんだ?」


「聖水魔法の防御魔法だぜぇ。見ての通り、聖水の壁を作るんだぜぇ」


「そうなのか」


「これなら安全そうだねおみぃ」


「では、ここから出てみるか」



 黒い円から出た。


「「「ピイィィィィイイイィィィイィィィィイィイィィッ!!!!!」」」

「「「ピーーーッ!! ピーーーッ!!! ピーピーピーッ!!!!」」」


 周囲では、鳥とドラゴンのようなケンゼンジュウの大群と、白い人間たちが戦っていた。


「うわぁ、やってるねぇもん」


「これは危険すぎるよおみぃ! 早く逃げようよおみぃ!」


「何言ってんだぁ! このままじゃあ、雌が死んじまうかもしれねぇだろぉ! 親父ぃ、俺ちゃんたちも戦おうぜぇ!!」


「それもそうだな! あいつらを倒そう!!」


「さすが親父ぃ、分かってるぜぇ! よし、いくぜぇ!!」


 ショウヘキが消えた。


「カイテンショウをくらいやがれぇ!!」


 シンヴォルオースノの周囲に回転している円盤状の黄色いノコギリのようなものが多数現れ、周囲のケンゼンジュウたちに向かって行った。


「「「ピィッ!?」」」


 鳥のようなケンゼンジュウたちが切り裂かれ、消えた。



「うおおおおおおおおおぉっ!!!!! まだまだぁっ!!」


 シンヴォルオースノの周囲に、再びカイテンショウが多数出現し、ケンゼンジュウたちに向かって行った。


 ケンゼンジュウたちは切り裂れ、消えた。


「なんかもうシンヴォルオースノだけで良いんじゃないのって、感じだねおみぃ」


「そうでもないわよめっきゅ! まだまだ敵は、たくさんいるわよめっきゅ!!」


「俺たちも戦おう!」


「そうでげすね!」


「あっ、鳥みたいなのが向かって来たよもん!」


「よし、やるぞ!!」


「分かったわよめっきゅ!」


 向かって来た鳥のようなケンゼンジュウを、つるはしでぶん殴った。


 ケンゼンジュウは消えた。


 よし、この調子で、どんどん倒そう!!

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