第24話 さらに廃墟探索
「ん? そういえば、あの黄色い水は、どこに行ったんだ?」
「あれは魔法だから、使い終えたら消えるんだぜぇ」
「そうなのか」
「なら、あれは飲めませんねきゅひゃ」
「そうなるぜぇ」
あれを飲みたくはないぞ!!!
廃墟をひと回りしてみた。
「どこもボロボロでモザイクだったねおみぃ」
「そうねめっきゅ。目ぼしいものはないみたいだし、他のところに行きましょうかめっきゅ」
「そうだな」
ウィンドウ
「また廃墟みたいなのがあるよおみぃ」
「またなのもん? 廃墟ありすぎじゃないもん?」
「もしかして、このあたりの町は、すべてケンゼンジュウに滅ぼされたんでげすかね?」
「その可能性もありそうだな」
地上に下りて、廃墟を探索してみた。
目ぼしいものはなかった。
ウィンドウ
「また廃墟のような場所がありますねきゅひゃ」
「そうねめっきゅ」
「すごく大きいところだねおみぃ」
「そうだな」
なんか城っぽい場所もあるな。
ここは首都だったのだろうか?
「あそこなら、何かありそうだねもん」
「調べてみようでげすぜ」
「ああ、そうだな」
地上に下りた。
「それじゃあ、ここをひと回りしてみようか」
「分かりましたきゅひゃ」
城の跡地と思われる場所にやって来た。
「アニキ、金庫みたいなのが転がってるでげすぜ」
「頑丈そうだねおみぃ。何か良いもの入っているかもしれないよおみぃ。開けてみようよおみぃ」
「そうだな」
「開かないな。鍵がかかっているみたいだ」
「なら、俺ちゃんに任せなぁ! 親父ぃ、そいつをそこに置くんだぜぇ!!」
「ああ、分かったよ」
「いくぜぇ! 『カイテンショウ』だぜぇ!!」
シンヴォルオースノがそう言うと、回転している円盤状の黄色いノコギリのようなものが現れた。
ノコギリが金庫の入り口を切断した。
「おおっ! すごい切断力だな!!」
「俺ちゃんにかかれば、こんなもんだぜぇ!」
「これも聖水魔法なのか?」
「その通りだぜぇ!」
「早く中を見てみようよおみぃ!」
「そうだな」
中には、A4サイズくらいの紙の束が入っていた。
「なんか描いてあるな。これは文字かな?」
「そう見えなくもないわねめっきゅ」
「まったく読めないねおみぃ」
「そうでげすね…… ん?」
「どうしたんだ、ウィンドウ貞?」
「その文字みたいなものを見た瞬間、我輩のウィンドウに文が表示されたでげすぜ」
「なんと表示されたんだ?」
「『モザイク調査報告書』と書いてあるでげすぜ」
「それがここに書いてあることなのか? ウィンドウ貞には翻訳能力があるのか?」
「そこはよく分からないでげすぜ」
「そうなのか」
「とりあえず、他の部分も見てもらおうよおみぃ」
「ええ、そうねめっきゅ。気になる報告書だしねめっきゅ」
「了解でげすぜ」
「『ソノアヂヴヂグベ山』という場所でモザイクが発生して、どんどん周囲に広がっていったらしいでげすぜ」
「変な名前の山だねぇおみぃ」
「そうだな」
「モザイクがかかった人間は、異性への関心がなくなっていくらしいでげすぜ。他の生物は調査中らしいでげすぜ」
「なんじゃそりゃぁっ!? すぐにモザイクをどうにかしないと!! ソノアヂヴヂグベ山とやらに行けば良いのか!?」
「落ち着きなさいめっきゅ。続きはあるのめっきゅ?」
「まだあるでげすぜ」
「なら、読み終えてから判断しましょうめっきゅ」
「分かったよ」
「それじゃあ、続きを読むでげすぜ。各町の婚姻数、出産数の変化が書いてあるでげすぜ。確かに、どんどん減っているみたいでげすぜ」
「そうなのか」
「たくさん書いてあるでげすぜ」
「そこは読み飛ばして良いぞ」
「了解でげすぜ」
「モザイクがかかった何かが、人を襲う事件が多発しているらしいでげすぜ」
「あのモザイクのケンゼンジュウのことか」
「そうみたいでげすね」
「ソノアヂヴヂグベ山に調査隊を向かわせたみたいでげすぜ」
「結果はどうなったんだ? 書いてあるのか?」
「あるでげすぜ。何度も向かわせたようでげすが、誰も帰って来なかったようでげすぜ」
「怖いねぇおみぃ」
「そうだねもん」
「いったい何があったのでしょうかきゅひゃ?」
「ケンゼンジュウとかいうのに襲われたんじゃねぇのかぁ?」
「その可能性もあるな」
「あっ、ひとり帰還者が出たらしいでげすぜ! そいつは『クゥザイ・モーショリ』と言って、息絶えたらしいでげすぜ」
「なんだそれは?」
「そこに関しては、何も書いてないでげすね。というか、この報告書は、これで終わりでげすぜ」
「そうなのか」
「アニキ、どうするでげすか?」
「ソノアヂヴヂグベ山に行こう!」
「えっ? なんのためにもん?」
「無論、モザイクを止めるためだ!!」
「いや、だから、なんで私たちが、それをするのもん? 私たちには関係ないんじゃないもん?」
「関係ないとは限らないぞ! モザイクの鳥みたいなヤツが、あの黒い円を通って、俺たちのいた場所に行った可能性があるからな!!」
「まあ、確かにそうだけどもん」
「調査隊が何度も帰って来なかったんでしょおみぃ? 私たちだけでは、危ないんじゃないおみぃ?」
「そうよめっきゅ。無謀よめっきゅ」
「なら、修行するしかないか」
「強くなる方法を探そうでげすぜ!」
「ああ、やろうぜぇ、親父ぃ!!」
「そうだな!」
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