第20話 モザイクの世界?

「アニキ、ルアレリーネ、捕まるでげすぜ!」


 ウィンドウさだが、穴を掘る魔法で出した腕を伸ばして来た。


 俺は穴を掘る魔法で出した腕で、その腕をつかんだ。


「ルアレリーネは!?」


「私が捕まえたよもん!」

「無事ですよきゅひゃ!」


「よし、なら、脱出だ!」


「了解でげすぜ!」


 宝箱ハウスから出た。



「えっ!? な、なんだここは!?」


「空の上にいるように見えるけど、なんで風景がぼかされているのもん!?」


「まるですべてにモザイクがかけられているみたいでげすぜ!?」


「なんなの、これおみぃ!?」


「ここはモザイクの世界なのか!?」



「みんな、上を見てめっきゅ!」


 見上げると、直径十数メートルくらいの大きな黒い円が浮いていた。


 ゲームなどに出て来るワープゲートのようにも見える。


「な、なんだあれは!?」


「もしかして、我輩たちは、あそこから落ちて来たんでげすか!?」


「位置から考えると、そうなるわねめっきゅ!」


「なら、戻ろうよおみぃ。なんかここ不気味だよおみぃ」


「あそこに行ったら戻れるのもん?」


「そこは分からないわねめっきゅ」



「皆さん、何か近付いて来ますよきゅひゃ!」


 俺たちの方に、モザイクのかかった鳥の群れのようなものが近付いて来ていた。


「な、なんだあれは!? 逃げるぞ、みんな!!」


「逃げるって、どっちにおみぃ!?」


 鳥の群れは前後左右にいるようだ。


「下にはいないわよめっきゅ! 行きましょうめっきゅ!」


「了解でげすぜ!」


 ウィンドウ貞が下降した。



「あの群れは、黒いものに向かっているようねめっきゅ」


「そのようだねもん」


「私たちが狙いじゃなくて良かったねおみぃ」


「まったくですねきゅひゃ」



「あいつら、黒い円の中に入って行くぞ」


「私たちのいたところに行くつもりなのかなもん?」


「そうなんじゃないのめっきゅ?」


「何をしに行くんだろうねおみぃ?」


「良いものではなさそうですねきゅひゃ」


「侵略なんでげすかね?」


「その可能性もあるわねめっきゅ」



「うわっ、デッカいのがいるよおみぃっ!?」


 モザイクのかかった巨大な赤いドラゴンのようなものが飛んでいた。


「あいつも、あの黒いものに向かっているみたいねめっきゅ」


「あそこに入れるのかなもん?」


「ギリギリ入れるか入れないかというところですねきゅひゃ」



 ドラゴンのようなものが黒い円の中に入ろうとした。


「あっ、詰まっちゃったみたいだねおみぃ」


「そうだねもん」


「間抜けすぎるでげすぜ」


「まったくねめっきゅ」



「ん? これはもしかして、俺たちは帰れなくなったのか!?」


「あそこから帰れるならそうなるわねめっきゅ」


「これからどうしようおみぃ?」


「とりあえず、詰まりが解消されるまで、ここを探索してみようか」


「ええ、そうねめっきゅ」



「そういえば、宝箱はどうなったんでげすかね?」


「地面にたたき付けられて、粉々になっちゃったのかなもん?」


「どうだろう? 使えるものがあるかもしれない。探してみようか」


「そうですねきゅひゃ」



 ん?

 下に巨大な青いモザイクがあるな。


「もしかして、下は海なのだろうか?」


「確かに、そう見えるでげすね」


「ちょっと調べてみましょうよめっきゅ」


「ああ、そうだな」


 穴を掘る魔法の腕で、青いモザイクに触れてみた。


「液体みたいだな。これ、飲めるかな?」


「食べられるか調べる魔法を使ってみれば分かるわよめっきゅ」


「そうだな」


 使ってみた。


「塩辛いから、そのままでは飲めない気がするぞ」


「ということは、やはりここは海みたいでげすね」


「そのようだな」



「宝箱や中のものは沈んじゃったのかなもん?」


「そのようだねおみぃ」


「荷物を全部失ってしまったか……」


「そうでもないよおみぃ」


「えっ? あっ!」


「宝箱から出る時に、リュックサックとショルダーバッグを持って来たよおみぃ」


「そこには何が入っているんだ?」


「水筒、食料、不石、服だねおみぃ」


「そうか。ありがとう。助かったよ」


「どういたしましておみぃ!」



「アニキ、これからどうするでげすか?」


「とりあえず、陸地を探してみよう」


「分かったわめっきゅ」


「それじゃあ、探そうか」



「あっ、あっちに陸地っぽいものがあるよもん」


「なら、行ってみよう」


「了解でげすぜ」



 陸地と思われるところにやって来た。


 下には砂色のモザイクある。


 少し先には、緑色のモザイクがある。

 木のようなモザイクもある。


 これは砂浜に、草原なのだろうか?


 まずは触って確認してみるか。


 穴を掘る魔法の腕で、砂色のモザイクに触れてみた。


 砂みたいな感じだな。


 ウィンドウ貞から下りてみた。


 砂を踏んだような感触がある。


 やはりここは砂浜なのか。



「どうやら陸地で間違いないみたいねめっきゅ」


「ああ、そのようだな」


「このあとは、どうしますかきゅひゃ?」


「まだあの黒い円は、詰まっているな」


「ええ、まだ解消できてないわねめっきゅ」


「なら、しばらくここにいるしかないか」


「ということは、食べ物と水を探さないといけませんねきゅひゃ」


「寝床もいるねおみぃ」


「ああ、それじゃあ、探しに行こうか」


「分かったわめっきゅ」

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