第19話 善の教団と悪の教団?

「ああ、寒いなぁ」


「まったくですねきゅひゃ。暖炉の前から離れられませんよきゅひゃ」


 俺はそこまでではないけどな。


 ルアレリーネは、ものすごく寒さに弱いみたいだな。


「生物は大変ねめっきゅ」


「メイキュたちは寒くないのか?」


「寒さは感じるんだけど、つらくはないわねめっきゅ」


「我輩もそんな感じでげすぜ」

「私も同じだよおみぃ」

「私もだよもん」


「そうなんだ」



「それにしても、暇でげすぜ」


「それなら、教団の偵察にでも行って来たらめっきゅ?」


「そうでげすね。ちょっと行って来るでげすぜ」


「えっ!? あの宮殿みたいなアジトに行く気か!?」


「その通りでげすぜ」


「大丈夫なのか!?」


「無茶はしないでげすぜ! それじゃあ、行って来るでげすぜ!!」


「気を付けて行けよ!」


 ウィンドウさだが、家のような宝箱から出て行った。



 ああ、すごく暇だな。


 ちょっと外の様子を見てこようかな。


 買っておいた防寒具を着て、外に出た。



 おおっ!

 積もったなぁ!!

 一面の銀世界だ!!!


 せっかくだから、雪遊びをするか!!


 何をするかな?


 よし、美人お姉さんの雪像を作ろう!!


 まずは雪を集めるか!



 このくらいで良いかな?


 よし、ナイスバディな美人お姉さんを作るぞ!!



 な、なんだとっ!?


 美人お姉さん雪像が白い光に覆われただとっ!?


 なんてことだっ!?

 せっかく作った抜群のプロポーションが見えなくなったじゃないかっ!?


 おのれっ、ミステリアスホワイトライト教団めっ!!!


 覚えてやがれっ!!!


「ピイイィィイィィイイイィィィィイィイィィィッ!!!!!」


 ん?

 ケンゼンジュウが来たか。


 ちょうど良い!

 憂さ晴らしをするとしようか!


 くたばりやがれぇぇぇぇぇっ!!!!!


 白いイノシシのようなケンゼンジュウを倒した。


 不石を手に入れた。



「ただいまでげすぜ」


「無事だったか、ウィンドウ貞!」


「ご無事で何よりですきゅひゃ」



「それで、どうだったのめっきゅ?」


「怪しいところは、全然見つからなかったでげすぜ」


「えっ!?」


「それどころか、町の中の雪かきをしたり、町周辺のケンゼンジュウを倒していたりと、良いことをたくさんしていたでげすぜ」


「なんでそんなことを!?」


「ミステリアスホワイトライト教は、悪ではないということなのもん?」


「そういうことになるのか?」


「それは早計でしょおみぃ。大きな組織みたいだから、悪事をしている一派がいるだけなのかもしれないよおみぃ」


「なるほど、あの町のは、善の教団なのか」



「それから、変なお祈りをしていたでげすぜ」


「なんだそれは?」


「バックログにあるから、見るでげすぜ」


「分かったよ」


 ボタンを押した。


 バックログ用のウィンドウが出て来た。



「この部分でげすぜ」


 『我らが神ピーよ、世界をあるべき姿に戻したまえでごじゃぴぃぷぅ。そして、ピーーーーーーー』と書いてある。


「『でごじゃぴぃぷぅ』!? なんじゃそりゃぁっ!?」


「そこは不明でげすぜ!」


「訳が分からなさすぎる!!」


「いや、そこはどうでもいいでしょめっきゅ! それよりも、なんで神の名前と思われる部分が、ピーになっているのよめっきゅ?」


「それは、神の名前が不健全な感じなんじゃないか?」


「『世界をあるべき姿に戻したまえ』って、どういうことなのおみぃ? 白い光やピー音がない世界に戻って欲しいという風にも受け取れるよおみぃ」


「確かに、そうとも受け取れるな」


「白い光ではない、もっと健全なものになって欲しいとも受け取れますよきゅひゃ」


「そうだな…… これはどういう意味なのだろうか?」


「『そして』のあとが、ずっとピーなのも気になるねもん。そうなるってことは、ずっと不健全なことを言っているってことなんでしょもん?」


「ああ、そのはずだ。この人は、いったい何を言っているのだろうか?」



「あ~、ミステリアスホワイトライト教のことが、よく分からなくなってきたぞ!!」


「それ、元からだと思うけどねおみぃ」


「そうねめっきゅ」


「あいつらは悪なのか!? 悪じゃないのか!?」


「どうなんでげすかね? 祈っていた人に聞いてみるでげすか?」


「それはリスクが高いんじゃないのかなおみぃ?」


「なら、他のアジトを調べてみようかもん?」


「いえ、それよりも、ヴェーケスードを連れ去った連中を調べた方が良いんじゃないのめっきゅ?」


「なるほど、確かに、そうだな! 元はと言えば、そいつらが悪いわけだしな! よし、調べに行こう!!」


「寒いから嫌ですきゅひゃ。暖かくなるまで待ちましょうきゅひゃ」


「ええ……」


「アニキたちが、こんな雪の中を動くのは危険でげすぜ! また我輩だけで行って来るでげすぜ!」


「すまない、頼むよ、ウィンドウ貞」


「我輩に任せておくでげすぜ! それじゃあ、行って来るでげすぜ!」


「ああ、気を付けてな…… って、なんだ!?」


 突然、宝箱ハウスが揺れ出した。


「これは地震でげすか!?」


「そのようだな! それもかなり大きいぞ!!」


「これ、宝箱が壊れちゃうんじゃないのおみぃっ!?」


「外に出ようもん!」


「ああ、そうだな…… って、えっ!?」


「な、なんか落下しているでげすぜ!?」


 これは、まさか地割れか!?


 早く逃げないと!?

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