第17話 白い町

 前方に西洋風の城壁が見えてきた。


「あそこでげすぜ」


「そうなのか。デカい城壁だな」


 しかも、全面真っ白だな。


 はっ!?

 ま、まさか!?

 あそこにも不健全なものが描かれているのだろうか!?


 白いということは、その可能性もあるよな!?


 見てみたいぞっ!!!!!


「大きな町なんだねおみぃ。ああいうところにお店を開いたら、もうかりそうだねおみぃ」


「あそこの近くにダンジョンを造ったら、人がいっぱい来てくれそうねめっきゅ」


「そうだな」



「ウィンドウさだに乗ったまま町に入ったら、目立つよな?」


「多分そうだと思うでげすぜ」


「なら、少し離れた場所に下りて、歩いて向かおう」


「了解でげすぜ」


 目立つと教団の追手が来るかもしれないからな。



 町から少し離れたところにある森の中に下りた。


「そういえば、メイキュたちは目立つのだろうか?」


「アニキが持ち運んでいれば、そこまで目立たないと思うでげすが、いまのように飛んでいたら、目立ちそうでげすぜ」


「私は目立ちますかきゅひゃ?」


「歩く草も目立つと思うでげすぜ」


「なら、私たちはここで荷物の番をしているわよめっきゅ」


「そうだねもん」


「私は中を調べに行きたいなおみぃ」


「私も町というものを見てみたいですきゅひゃ」


「あまり荷物を多くしたくないから、また今度にしてくれ」


「仕方ないなぁおみぃ」


「分かりましたよきゅひゃ」



「フセキを何個持って行こうか?」


「とりあえず、五個くらいで良いと思うでげすぜ」


「分かったよ」


 小さ目のフセキを五個持った。


「今更だが、子供が持って行って、買い取ってもらえるのだろうか?」


「背の低い人もいたから大丈夫だと思うでげすぜ」


「そうなのか」


 背の低い人か……


 そういう需要も満たせるゲームなのだろうか?


 素晴らしいじゃないかっ!!!



「お金を手に入れたら、何を買うんでげすか?」


「そうだなぁ。とりあえず、ポケットの付いた服やカバンが欲しいところだな」


「そうねめっきゅ。フセキを運ぶのが楽になりそうだしねめっきゅ」


「それに、お金を手で持っていると変な人に狙われる可能性もあるしな」


「服とカバンを売っている店なら、町の調査中に見かけたでげすぜ」


「そうなのか。じゃあ、売却後に案内してくれ」


「了解でげすぜ」



「それじゃあ、行って来る。荷物を頼むぞ」


「分かったわよめっきゅ」

「任せておいてもん」

「行ってらっしゃいおみぃ」

「お気を付けてきゅひゃ」



「アニキ、我輩は目立たないよう、白くなって肩の上に乗っているでげすぜ」


「ああ、分かったよ」


 肩乗りウィンドウか……


 ペットみたいだな。



 町の中に入った。


 周囲には真っ白い三角屋根の建物が並んでいる。


 やはりあそこにも不健全なものが描かれているのだろうか!?


 くっ、見てみたいっ!!!!!


 早くミステリアスホワイトライト教をぶっ潰さないとっ!!!



 道路は石畳のようだ。


 真っ白い人が、かなりたくさん歩いている。


 大きいだけに栄えているんだな。



「アニキ、真っ直ぐ進むでげすぜ」


 ウィンドウ貞が小声で、そう言った。


 分かったよ。


 では、行くか。



 町の中を歩いている。


 白い人だらけで不気味だな。


 所々に木が植えてあって、なんか癒される。



「アニキ、そこの看板のある建物でげすぜ」


 『不石買取所』と日本語で書かれた壁面看板が取り付けられている白い建物があった。


 フセキって、ああいう字を書くのか。


 なぜなのだろうか?


 まあ、そんなのどうでもいいか。



 中に入った。


 窓口複数、椅子の置いてある待合所があるな。


 役所みたいな場所だな。


 客はそこそこいるな。


 本当に、かなり背が低い人もいるぞ。


 これなら俺が売っても問題ないな。



「すみません、買い取りをお願いします」


 不石をカウンターテーブルに置いた。


「かしこまりましたでじゃうるんす。少々お待ちくださいでじゃうるんす」


 窓口にいた白い人がそう言って、不石をはかりのようなものの上に載せた。


 えっ!?

 『でじゃうるんす』!?


 なんで語尾にそんなものが付いているんだ!?


 訳が分からなさすぎるぞ!?


 これもバカエロゲーだからなのか!?


 まあ、どうでもいいか!!



「お待たせいたしましたでじゃうるんす。ひとつ五千アカァジになりますでじゃうるんす。よろしいでしょうでじゃうるんすか?」


「はい、それで買い取ってください」


「かしこまりましたでじゃうるんす」


 アカァジ?

 それがここの通貨の単位なのか?


 貯めても金持ちにならなさそうだな。


「では、二万五千アカァジになりますでじゃうるんす。ありがとうございましたでじゃうるんす」


 窓口にいた白い人がカウンターテーブルの上に、金貨二枚と銀貨五枚を置いた。


 これがアカァジか。


 金貨は百円玉くらいの大きさ。

 片面には『10000アカァジ』という文字と葉が描かれている。

 もう片面には建物が描かれている。


 銀貨は五百円玉くらいの大きさ。

 片面には『1000アカァジ』という文字と稲穂のようなものが描かれている。

 もう片面には、木が描かれている。



 不石買取所を出て、人気のない裏路地に入った。


「それじゃあ、店に案内してくれ」


「了解でげすぜ」


 ウィンドウ貞が案内してくれた店で、服とショルダーバッグを買った。

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