第16話 ウィンドウ使いの荒い漢

「アニキ、帰ったでげすぜ」


「おかえり、ウィンドウさだ。どうだった?」


「あそこの人は、普通に生活しているだけだったでげすぜ」


「普通って、どんなことをしていたのめっきゅ」


「アジトの近くにある畑の手入れをしたり、掃除をしたり、買い物したり、近所の人と会話したり、食事をしたり、祈ったり、寝たりでげすぜ」


「本当に普通だな。どういうことなのだろうか?」


「二日間だけで判断すべきではないと思いますよきゅひゃ」


「そうだな。ウィンドウさだ、すまないが、また調査してきてくれ」


「了解でげすぜ! じゃあ、また二日後にでげすぜ!」


「ああ、頼むぞ!」


 ウィンドウ貞が飛んで行った。


「私たちはどうしますかきゅひゃ?」


「食べ物を集めてから、修行をしようか」


「分かりましたきゅひゃ」


「ピイィィィィイイイィィィイィィィイイィィィッ!!!!!」


「また来たよおみぃ」


「仕方ない、倒すか」



 二日後。


「アニキ、ただいまでげすぜ」


「おかえり。お疲れさん。どうだった?」


「全然変わらないでげすぜ。普通に穏やかな暮らしをしているって感じだったでげすぜ」


「そうか。変化なしか。教団の末端は、悪さをしていないのかな?」


「でも、まだ四日間しか調査してないよおみぃ」


「そうだな。もう少し様子を見るか。ウィンドウ貞、もう一回行って来てくれ」


「了解でげすぜ」



「そういえば、アニキたちの方はどうなんでげすか?」


「水と食料は発見できた。順調だな」


「問題は白い獣に、よく襲われるということくらいねめっきゅ」


「戦闘には、もう慣れたから問題なく倒せるけどな」


「そうでげすか。問題ないなら、良かったでげすぜ。それじゃあ、行って来るでげすぜ」


「ああ、頼んだぞ!」



 十日後。


「ただいまでげすぜ!」


「おかえり、ウィンドウ貞。お疲れさん」


「今回はどうだっためっきゅ?」


「いつも通り、のんびり平和に暮らしていたでげすぜ」


「変化なしか。末端は、普通の宗教団体でしかないのか?」


「そうなんでげすかね?」


「ここまで変化がないなら、そうなんじゃないめっきゅ?」


「そうですねきゅひゃ」


「なら、もっと大きいところを調べないとダメか」


「そうなるねもん」



「それから、ちょっとマズい話を聞いたでげすぜ」


「えっ? なんだ?」


「あと、二か月くらいで冬になるらしいでげすぜ」


「冬!? それは確かにマズいな!?」


「どのくらい寒くなるかは分からないでげすが、野宿はできなさそうでげすぜ」


「そうだな。なんとかしないと」


「何をするのもん?」


「うーん、なんとかお金を稼げればなぁ」


「お金でげすか。その白いの買い取ってもらえないでげすかね?」


「どうなんだろう? ウィンドウ貞が行ってた村で、売ってみようか?」


「あそこはやめた方が良いでげすぜ」


「なんでだ?」


「住んでいる人が少なくて、余所者は目立つみたいでげすぜ。ウワサになって、教団に気付かれるかもしれないでげすぜ」


「ああ、なるほど」


 村社会というヤツなのか。


「なら、大きな町に行ってみようか。どこにあるか知らないか?」


「分からないでげすぜ」


「私も知らないわよめっきゅ」


 みんな知らないようだ。



「ウィンドウ貞、ちょっと探して来てくれないか?」


「了解でげすぜ」


「人使いが荒いねぇおみぃ」


「う、うるさいな…… 仕方ないだろ……」


 それに、ウィンドウ貞はウィンドウだから、ウィンドウ使いが荒いだろ!


「それじゃあ、行って来るでげすぜ!」


「ああ、頼むぞ!」


 ウィンドウ貞が飛んで行った。



「私たちはどうするのもん?」


「金になりそうなものを探そう」


「分かったわめっきゅ」


「ピイィィイイイィィィイイィィィイィィィィィッ!!!!!」


「さっそく来たわねめっきゅ!」


「ああ、好都合だな!」


「さっさと倒してしまおうおみぃ!」



 一週間後。


「アニキ、大きな町を見つけたでげすぜ!」


「おおっ、無事だったか! 心配したぞ、ウィンドウ貞!」


「今回は長旅だったわねめっきゅ。何をしていたのめっきゅ?」


「いろいろ調べていたら、遅くなってしまったでげすぜ」


「そうだったのか。ありがとう、お疲れさん」



「それで、何が分かったんだ?」


「その白いのを買い取ってくれるところがあるでげすぜ」


「そんなところがあるのか!」


「そもそも、これって、なんなのめっきゅ?」


「『フセキ』と呼ばれていて『ケンゼンジュウ』と呼ばれているものを倒すと手に入るということくらいしか分からなかったでげすぜ」


 ケンゼンジュウ?

 健全獣?


「あの白い獣、そんな名前だったんだねおみぃ」


「ミステリアスホワイトライト教に関係ありそうな名前だな! あいつらが存在するのは、教団の仕業なのだろうか!?」


「そこは不明でげすぜ」



「では、売りに行くか」


「それにしても、大量にあるでげすね」


「ああ、なぜかよく出会うんだよな」


「このあたりには、たくさんいるんでしょうかねきゅひゃ?」


「そうなんじゃないのおみぃ」


「一遍にそんな大量に売ったら目立つかもしれないでげすぜ」


「そうか? なら、小分けにして売るか」


「その方が良いでげすぜ」


「まあ、とりあえず、出発しようよもん」


「ああ、そうだな」

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