第12話 名前を付けようとしたら……

「モーンスにも、メイキュの魔法を教えた方が良いんじゃないでげすか?」


「そうねめっきゅ! さっきのお返しをしなきゃねめっきゅ!」


「ついでに、私の特殊能力も教えてあげようおみぃ!」


「えっ、どういうこともん?」


「こういうことよめっきゅっ!!」


「くらえおみぃっ!!」


「あああああああああああっ!!!!!」


 モーンスはメイキュとケーエにぶったたかれ、魔法と特殊能力が身に付いた。


「ムキムキの腕が出せる怪しい集団だねおみぃ」


「そこ、うるさいぞ!」



「アニキ、あのピンクの草が起きたでげすぜ」


「えっ?」


 ピンクの草が、根を足のように使って立っていた。


 あいつ、生きていたのか。


 ピンクの草が、根を器用に動かして歩き始めた。


「あの子、意外と愛嬌あいきょうあるねおみぃ」


「ええ、チョコチョコ歩いて、かわいらしいわねめっきゅ」


「そうだな」



「ちょっと声をかけてみようかな。こっちおいで」


「きゅひゃ~」


 ピンクの草が鳴きながら近付いて来た。


 言葉が分かるのかな?


「きゅひゃ~、きゅひゃ~」


 ピンクの草が俺の周りを走り始めた。


 とてもかわいい。 


「アニキになついてるみたいでげすね」


「そのようだな」


「なんでだろうおみぃ?」


「よく分からないねもん」



「君はとエモンなのか?」


「きゅひゃ~、きゅひゃ~」


「何を言ってるの分からないな。この子は、とエモンではないのかな?」


「そうみたいだねもん。多分『とエモンエボエヴォリューションション』が中途半端に作用して、妙な生物になってしまったんじゃないかなもん?」


「ふむ、なるほどな」



「きゅひゃ~、きゅ~ひゃ~」


「この子に名前を付けてあげないめっきゅ?」


「そうだな。どんな名前が良いかな?」


「きゅひゃ~と鳴いているから『キューヒャ』なんてどうおみぃ?」


「きゅひゃっ!? きゅひゃぁぁぁぁぁっ!!!!!」


「急に叫び出したな」


「気に入らなかったんでげすかね?」


「そうかもしれないわねめっきゅ」



「なら、何にするでげすか?」


「うーん、そうだなぁ……」


 体がピンクだから……


「『モモ』ちゃんというのは、どうかな?」


「きゅひゃぁぁぁっ!!! きゅひゃぁぁぁぁぁっ!!!!!」


「これもダメっぽいな」


「そのようだねもん」



「なら『ダグラボルーヴ』というのはどうもん?」


「なんだその名前は!? どういう意味なんだ!?」


「なんかパッと思い付いただけだから、意味はないよもん」


「きゅひゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!!!!!!」


「それもダメみたいでげすぜ」


「そのようねめっきゅ」



「植物でピンク色だから『ショッピー』というのは、どうでげすか?」


「きゅひゃきゅひゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!!!!!!」


「その名前もダメみたいだな」


「わがままねぇめっきゅ」


「そうだねおみぃ」



「もしかして、かっこいい感じの名前が良いのかしらめっきゅ? 『エヤンギソート』なんてどうめっきゅ?」


「きゅひゃああああああああああっ!!!!!!!!!!」


「それもダメみたいだねもん」


「そのようねめっきゅ」


「面倒だなぁ」



「きゅひゃぁぁぁっ!!! きゅひゃぁぁぁぁぁっ!!!!!」


「なんか怒ってないか?」


「そんな感じがするわねめっきゅ」


「きゅひゃああああああああああっ!!!!!!!!!!」


 突然、ピンクの草が白い光の球体に包まれた。


「な、なんだいきなり!?」


「とエモンエボエヴォリューションションを使った時みたいでげすぜ!」


「まさかとエモンエボエヴォリューションションなしで、進化するというのもん!?」


「ええっ!?」



 白い光の球体がどんどん大きくなっていき、直径二〇センチくらいになった時、突然はじけた。


 そこには、長さ二〇センチくらいに成長したピンク色の草がいた。


 以前の倍くらい長さだな。


「皆さん、ネーミングセンスがなさすぎますよきゅひゃ」


 ピンクの草のいる方から声が聞こえてきた。


「えっ!? しゃべった!?」


「ええ、確かにしゃべったわねめっきゅ!?」


「はい、普通にしゃべれますよきゅひゃ」


「なんでしゃべれるようになったんだ!?」


「そこは不明ですきゃひゅ」


「私にも分からないよもん」


「そうか」


 こういう時は、バカエロゲーのせいということにしておこう。



「それで、私の名前は何にするんですかきゅひゃ? もっと良い名前を付けてくださいよきゅひゃ」


「そう言われてもなぁ…… どんな名前が良いんだよ?」


「そうですねきゅひゃ…… なんと言いますか、こう、きゅひゃっとした感じの名前が良いですねきゃひゃ」


「きゅひゃっ!? なんだそれは!? 全然分からんぞ!!」


「もっと分かりやすく言って欲しいでげすぜ!」


「もっとわかりやすくですかきゅひゃ…… そうですねぇきゅひゃ…… では、きゅひゃきゅひゃっとした感じと言えば伝わるのでしょうかきゅひゃ?」


「全然伝わらないわよめっきゅっ!」


「さっきと変わらないよもんっ!」


「というか、それなら『キューヒャ』で良いんじゃないおみぃっ!?」


「その名前は、ちょっと、きゅひゃっとはしてませんねきゅひゃ」


「してると思うんだけどなぁ」


「いえ、してませんよきゅひゃ」


 よく分からん……



「仕方ありません、ここは自分で考えますきゅひゃ。私の名前は『ルアレリーネ』にしますきゅひゃ」


「それがきゅひゃっとした名前なのか?」


「はい、その通りですきゅひゃ」


「そうなのか……」


 訳が分からなさすぎる……


 まあ、いいか。


 俺たちも自己紹介をした。

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