第11話 不健全なとエモンを作るために!

「ちょっとみんな、なんでそんな不穏なことを言うのもん!?」


「少し前に、似たようなことがあったからだよ!」


「昨日もあったでげすしね」


「それ、どういうこともん!?」


「あいつみたいに、ピーと鳴いたものが襲いかかってきたのよめっきゅ!」


「ええっ!? そんなことがあったのもん!?」


「そうよめっきゅ! あなたは戦えるのめっきゅ!?」


「戦いもん!? そんなの無理もん!」


「なら、下がってなさいめっきゅ!」


「分かったよもん!」



「ピイィィィイィィイィィッ!!!!!」


 直径一〇センチくらいだった白い光の球体が、どんどん大きくなっていき、直径一メートルくらいになった。


 そして、光がはじけた。


 そこには、全身白一色の人型の何かが立っていた。


 身長は一メートルくらい。

 頭部に大きな花のようなものが付いている。


「あれがとエモンなのか!?」


「とエモンは個体ごとに違う姿をしているから、なんとも言えないよもん。ただ、あんな真っ白いのは、初めて見たよもん」


「なら、どうやったら分かるんだよ?」


「とエモンかどうか本人に聞いてみれば良いよもん」


「そんなので良いのか!?」


「うん、とエモンならとエモンであると言うはずだよもん」


「そ、そうなのか…… なら、やってみようか」



「君はとエモンなのか?」


「ピイィィィイィィイィィッ!!!!!」


 大きな花が付いた人型の何かが、いきなり飛びかかって来た。


 俺は横に跳び、どうにか回避できた。


「これは魔法失敗でげすか!?」


「そうだと思うよもん!」


「なら、倒すわよめっきゅ!」


「ああ!」

「了解でげすぜ!」



「ピイィィイイィィィイィィイイイィィィイィィッ!!!!!」


 大きな花が付いた人型の何かが、また飛びかかって来た。


 俺はまた横に跳び、回避した。

 そして、距離を取った。


「ピイィィイイイイィィィイィィィイイイィィィッ!!!!!」


 大きな花が付いた人型の何かが、またまた飛びかかって来た。


 またかよ!?

 こいつ、これしかできないのか!?


 俺は穴を掘る魔法で出したつるはしで、大きな花が付いた人型の何かをなぎ払った。


 大きな花が付いた人型の何かは、地面にたたき付けられた。


「とどめよめっきゅっ!!」

「くらえでげすぜっ!!」


 メイキュとウィンドウさだが、倒れている大きな花が付いた人型の何かに、つるはしを叩き込んだ。


「ピイイイイイィィィィィ……」


 大きな花が付いた人型の何かは消えた。



「倒したみたいだな」


「アニキ、お見事でげすぜ!」


「ええ、見事だったわよめっきゅ!」


「あいつの動きが単純だったからだよ」


「それでもすごかったでげすぜ!」


「それはどうも」



「みんな、白いのが倒れていたところに何かいるよおみぃ」


「えっ? どれ?」


 細い茎、広葉が二枚、細い根がたくさんある。

 長さ一〇センチくらい。

 全身ピンク色。


 そこには、このような姿の植物のような何かが倒れていた。


「なんだこれは?」


「明らかに普通の植物ではないわねめっきゅ」


「ああ、そうだな」


 周囲の植物は、緑色だからな。


「こいつはなんなのでげすかね?」


「まさかとエモンなのおみぃ?」


「その可能性もあるよもん。とりあえず、保護しようもん」


「こいつ、生きているのか?」


「多分生きているんじゃないのもん?」


「そうか。なら、連れて行こうか」



「それにしても、なんでこんなことになってしまったのだろうもん? 君たちは、何か知っているのもん?」


「我輩たちは、それを調べているんでげすぜ」


「まだ全然分かってないけどねおみぃ」


「ミステリアスホワイトライト教という集団が怪しいってことくらいしか手掛かりがない状態よめっきゅ」


「そうなんだもん。なら、私にも手伝わせてくれないもん?」


「良いのか? さっきみたいに戦うことになるかもしれないんだぞ?」


「良いよもん。とエモンを作れないと、不健全が大好きな人が困るだろうしねもん」


「ああ、すさまじく困っているぞっ!!!!! では、手を組もうっ!!!」


「う、うん、そうしようもん……」


「絶対にとエモンを作れるようにしようなっ!!!!!」


「う、うん、そうだねもん……」



「では、自己紹介をしようか」


「そうでげすね」


 俺たちは自己紹介をした。


「私は『魔導ハリセン』の『モーンス・ターイッチョー』だよもん。モーンスと呼んでねもん。よろしくもん」


「ああ、よろしくな、モーンス」



「ところで、魔導ハリセンというのはなんなんだ?」


「魔法が書かれたハリセンだよもん」


「なんでそんなところに書くんでげすかね?」


「書いた人に聞いてとしか言いようがないよもん」


「それもそうだな」



「モーンス、他の魔法はないのか?」


「『とエモンエボエヴォリューションション鑑定』という魔法があるよもん」


「それはどんな魔法なんだ?」


「とエモンに進化できるかどうか調べる魔法だよもん」


「なんでもとエモンにできるわけではないのか?」


「うん、なれる者しかなれないよもん」


「なれる者となれない者の違いはなんでげすか?」


「生物は、ある程度成長している者しかなれないみたいだよもん」


「生物は? 生物じゃないものも、とエモンになることがあるのか?」


「うん、作られてから、ある程度の年月が経過するとなれる者もいるみたいだよもん」


「そうなのか!」


 いったいどんな不健全なとエモンになるのだろうか!?


 ああっ!!!

 早く見てみたいぜっ!!!!!

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