第7話 ダンジョンの守護者

「さあ、次の魔法に行くわよめっきゅ!」


「たくさんあるでげすねぇ」


「そうだな」



「次はダンジョンの守護者を出す魔法よめっきゅ!」


「守護者でげすか?」


「そうよめっきゅ! ダンジョンには襲ってくる怪物がいるって言ったでしょめっきゅ!? それを作るのよめっきゅ!」


「そんなことまでできるのか」


 とんでもないな!



「それじゃあ、お手本を見せるわねめっきゅ」


 メイキュが地面に向かって、ピンク色の光線を発射した。


 その光線は地面の上で、直径五センチくらいの球体になった。


 そして、光がはじけた。


 そこには、ピンク色のナメクジのようなものがいた。


「これが守護者なのか?」


「そうよめっきゅ」


「すごく弱そうに見えるでげすぜ」


「ええ、この子はすごく弱いわよめっきゅ」


「こんなのしか出せないんでげすか?」


「違うわよめっきゅ。この魔法で強い者を出そうとすると、すごく疲れるうえに、時間もかかるのめっきゅ。だから、今回はすぐに出せて疲れない、この子を出したというわけよめっきゅ」


「ああ、そういうことなのか」



「ピイィィイィィイイィィィイィィイイィィイイィイィィィッ!!!!!」


 いきなりピンク色のナメクジのようなものが、悲鳴のような声を上げた。


 そして、突然、体の色が白一色になった。


「なんだこれは?」


「なんで体の色が変化したんでげすか?」


「何これめっきゅ? こんなの見たことないわよめっきゅ」


「そうなのか? じゃあ、なんなのだろうか?」


「ピィィィィィッ!!!!!」


 白くなったナメクジのようなものが、いきなり飛びかかって来た。


「うわっ!?」


 俺はとっさに回避した。


「な、なんだよ、いきなり!?」


「なんで攻撃してきたんでげすか!? どういうことでげすか、メイキュ!?」


「知らないわよめっきゅ! 私は何もしてないわよめっきゅ!!」


「ピィィィィィッ!!!!!」


「きゃっ、なんで私にまで攻撃してくるのよめっきゅ!?」


「メイキュ、どうすればいいんだよ!?」


「仕方ない、倒してしまいましょうめっきゅ!」


 メイキュが青い半透明の腕で、白くなったナメクジのようなものをたたき潰した。



「やったか?」


「ええ、倒したわよめっきゅ」


 メイキュが青い半透明の腕を消した。


「あの白いのがいないでげすね」


「守護者は倒されると、跡形もなく消えるのよめっきゅ」


「へぇ、そういうものなのか」



「それにしても、なんで襲ってきたんでげすかね?」


「ああ、なぜだろうな…… ん? そういえば、あいつ、白くなって、ピーと鳴きながら襲ってきたよな」


「そうでげすね」


「まさかこれはミステリアスホワイトライト教の仕業なのか!?」


「あいつ、不健全なんでげすか?」


「そう見えなくもなかったな」


「それ、どういうことめっきゅ?」


「ミステリアスホワイトライト教のことを知らないのか?」


「外のことは全然知らないわよめっきゅ。ずっと洞窟の中で、のんびりしていたからねめっきゅ」


「そうなのか。ミステリアスホワイトライト教というのは、世界を健全にしている悪の組織だ」


「健全めっきゅ? 全然、悪に聞こえないわよめっきゅ」


「いいや、極悪な組織だ!!」


「そうなのめっきゅ。その健全にしているって、どういうことなのめっきゅ? 具体的に何をしているのめっきゅ?」


「人を白一色にしたり、発言をピーという音に変換したりしているんだ!」


「ああ、だからヴェーケスードは白いのねめっきゅ」


「えっ? 俺も白く見えるのか?」


「ええ、見えるわよめっきゅ。ただ、発言がピーという音にはなってないわよめっきゅ」


「そうなのか。なんでだ? 不健全なことを言ってないからかな?」


「そうかもしれないでげすね」



「あら? そういえば、白くなっているのに、ヴェーケスードは襲ってこないわねめっきゅ」


「確かにそうだな」


「そういえば、アネさんたちも襲ってきてはいないでげすね」


「ああ、そうだったな。じゃあ、今回の件はミステリアスホワイトライト教とは関係ないのだろうか?」


「よく分からないでげすぜ」


「そうねめっきゅ。いまの段階では、なんとも言えないわねめっきゅ。そもそも魔法の失敗である可能性もあるからねめっきゅ」


「なら、もう一回使ってみたらどうでげすか?」


「そうねめっきゅ。やってみましょうかめっきゅ」


 メイキュが、またピンクのナメクジのようなものを出した。


 その直後、またナメクジのようなものの全身が白くなり、襲いかかってきた。


 そして、またメイキュにたたき潰された。



「またなったな」


「ええ、なったわねめっきゅ」


「魔法を失敗した感じはしなかったのか?」


「前回も今回もしなかったわねめっきゅ」


「ということは、魔法の失敗ではないのでげすかね?」


「どうなんだろうな?」



「ちょっと他の守護者も出してみるわめっきゅ」


「ああ、分かったよ」


「また攻撃される可能性があるから、少し離れていてめっきゅ」


「了解でげすぜ」



「じゃあ、いくわよめっきゅ!」


「ああ、良いぞ!」


 メイキュがピンク色の豆腐みたいなものを出した。


 その直後、また全身が白くなり、襲いかかってきた。


 そして、またメイキュにたたき潰された。


 またなったか。


 この魔法は使用できないのだろうか?

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