第6話 サバイバルに便利なダンジョンを造る魔法

「喉は潤ったが、腹は減ったままだな」


「このあたりに食べられるものはあるでげすか?」


「知らないわよめっきゅ。私は食べる必要ないからねめっきゅ」


「そうか。まあ、とりあえず、周辺を探してみようか」


「そうでげすね」


 ウィンドウさだに乗り、外に向かった。



「ん? メイキュも付いて来るのか?」


「ええ、暇だし手伝ってあげるわよめっきゅ」


「助かるよ。ありがとう」


「どういたしましてめっきゅ」



 外に出て、周囲を探索してみた。


「アニキ、そこにキノコがあるでげすぜ」


 地面に、毒々しい青色をした傘の開いていないマツタケのようなものが生えていた。


 大きさは一〇センチくらいだ。


「あれは食えなさそうじゃないか?」


「それは分からないわよめっきゅ。食べられるか調べる魔法を使ってみなさいよめっきゅ」


「じゃあ、使ってみるでげすぜ」


「ちょっと待ってめっきゅ!」


「どうかしたでげすか?」


「食べられるか調べる魔法は、使用者が食べられるかを判別する魔法なのめっきゅ。だから、ウィンドウさだが使っても、ヴェーケスードが食べられるかは分からないわよめっきゅ」


「へぇ、そういう魔法なのか。なら、俺が使うか」


 キノコに向かって、食べられるか知りたいと思ってみた。


「火を通せば食べられる気がするぞ」


「なら、採取しましょうめっきゅ」


「いや、火がないんだが」


「火をつける魔法ならあるわよめっきゅ」


「そんなのまであるのか?」


「ダンジョン造りの、どこで使うんでげすか?」


「いろいろな場面でよめっきゅ」


「そうなのか」


「ああ、それから、調理するなら、まきを拾っておきなさいめっきゅ」


「分かったよ」


 青いマツタケっぽいキノコを採取した。



「あそこに、木の実があるわよめっきゅ」


 黄色いアワビの中身のようなものが、木になっていた。


 なんだあれは?

 妙な木の実だな。


 いや、あれは木の実なのだろか?


 まあ、そこはどうでもいいか。


「じゃあ、魔法を使ってみようか。 ……あれも火を通せば食べられるみたいだな」


「なら、採取するでげすぜ」


「ああ、ウィンドウさだ、上昇してくれ」


「了解でげすぜ」


 木の実を採取した。



「もう十分かな」


「なら、洞窟に戻りましょうめっきゅ」


「では、採取したものを落とさないよう、微速前進だ」


「了解でげすぜ」



 洞窟前に戻って来た。


 そして、周りに落ちていた石とまきで、簡素なかまどを作った。


「火をつける魔法って、どうやるんだ?」


「燃やしたいものに向かって、火をつけたいと思えばつくわよめっきゅ。ただし、すぐ近くのものにしかつかないわよめっきゅ」


「なら、戦闘で使うのは難しいでげすね」


「そうねめっきゅ」



「では、やってみよう」


 枯葉に向かって、火をつけたいと思ってみた。


 すると、枯葉に火がついた。


「おおっ、本当についたぞ! これは便利だな!!」


「そうでしょうめっきゅ! 私の魔法は便利で素晴らしいのよめっきゅ!!」


「ああ、そうだな!」



「じゃあ、採ってきたものを焼くか」


「なら、ここに載せてめっきゅ」


 メイキュが青い半透明のフライパンのようなものを差し出してきた。


「えっ? 調理器具を出す魔法もあるのか?」


「そんなのないわよめっきゅ。これは穴を掘る魔法よめっきゅ。持っていた道具の形を変えたのめっきゅ」


「そんなこともできるのか」


「ええ、穴を振る道具になら変えられるのよめっきゅ」


「そうなのか」


 まあ、確かにフライパンでも穴は掘れそうだな。


 それにしても、便利だなぁ。


「どうやって変えるんでげすか?」


「形をイメージして、変われと思うと変わるわよめっきゅ」


「分かったよ」



 キノコと木の実が焼けたので食べてみた。


 キノコは見た目通りキノコみたいな味と食感だ。

 醤油しょうゆが欲しいところだな。


 木の実は焼いたリンゴみたいな味と食感だな。

 なかなか美味しい。



「それじゃあ、他の魔法も教えるわよめっきゅ!」


「まだあるんでげすか」


「当然でしょめっきゅ! いままでのものだけでは、ダンジョンは造れないわよめっきゅ!」


「そうでげすか。それで、どんな魔法なんでげすか?」


「宝箱を作る魔法と、わなを作る魔法よめっきゅ」


「それは名前通りのものなのか?」


「そうよめっきゅ。使い方は簡単、材料を用意して、作りたいものをイメージして、宝箱かわなになれと思うだけよめっきゅ」


「材料がいるのか」


「当然でしょめっきゅ」


「まあ、それはそうだが」


 魔法なんだから、そんなのなくても出てくれると助かるんだがな。



「では、お手本を見せるわねめっきゅ!」


 メイキュがそう言った直後、土が動き出し、ゲームに出てきそうな宝箱の形になった。


「こんな感じよめっきゅ」


 おおっ!

 これもすごいな!


「箱だけでげすか? 中身はどうするんでげすか?」


「そこは自分で用意してねめっきゅ」


「ええ…… 肝心なものは自分でなのかよ」


「かゆいところに手が届かない魔法でげすね」


「ゼイタク言わないのめっきゅ!!」



「この箱って、どんな形の箱でも作れるのか?」


「えっ、それはやったことがないから、分からないわめっきゅ」


「じゃあ、やってみるか」


 浴槽みたいな箱をイメージして、魔法を使用してみた。


 すると、土が動き出し、浴槽みたいな形になった。


「どうやら風呂に入れそうだな」


「そのようでげすね」


「そんなことしなくても、汚れを落とす魔法があるんだけどねめっきゅ」


「えっ? そんなのもあるのか?」


「何に使うんでげすか?」


「ダンジョンの床や壁に付いた血を落とすとかよめっきゅ」


「そ、そうなのか……」


 恐ろしい使い道だな!?



「その魔法は、どうやって使うんでげすか?」


「対象を指定して、汚れを落としたいと思えば良いのよめっきゅ」


「それも便利だな」


「そうでしょうめっきゅ!!」



 では、さっそくやってみるか。


 汚れを落とす魔法を自身に使ってみた。


 体がスッキリした。


 本当に便利だな。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る