第3話 不健全で強くなる

「さて、強くなる方法を探そうか!」


「とりあえず、この部屋を探してみるでげすぜ!」


「ああ、そうだな!」


 周囲を見回してみた。


 フローリングの床、白い壁、電灯っぽいものが取り付けられている白い天井。


 なんか日本に普通にありそうな感じの洋室だな。


 ここの文明レベルは、地球と同じくらいなのだろうか?


 結構広くて良い部屋だな。


 置いてある家具の質が高い気がする。


 この家は、それなりに裕福なのだろうか?



「うーん、なさそうでげすね」


「ああ、そのようだな」


「どうするでげすか、アニキ?」


「当然、部屋の外を探す! 行くぞ、ウィンドウさだ!!」


「また捕まって、戻されるだけなんじゃないでげすかね?」


「なんか言ったか!?」


「いいや、なんでもないでげすよ! さあ、出発するでげすぜ!!」


「ああ、行くぞ!!」


 俺はハイハイで進み出した。



 ドアの前までやって来た。


「大変だ、ウィンドウ貞!!」


「何がでげすか?」


「ドアノブに手が届かない!!」


「確かにそうでげすね」


「ウィンドウ貞は開けられそうか?」


「我輩にも無理でげすぜ」


「そうか。なら、どうするか…… うーん…… おっ!」


「どうしたでげすか?」


「下にウィンドウ貞が通れそうな隙間があるぞ!」


「なら、我輩が部屋の外を調べて来るでげすぜ」


「ああ、頼んだぞ!!」


「了解でげすぜ!」


 突然、ウィンドウ貞の色が床と同じ色になった。


 さらに、少し小さくなった。


「おおっ、そんなこともできるのか!」


「そうなんでげすぜ。我輩は大きさと色を変えられるんでげすぜ。これなら目立たずに情報収集ができるでげすぜ」


「そいつは素晴らしいな!」


「それじゃあ、行って来るでげすぜ!」


 ウィンドウ貞が、ドアの隙間から部屋を出て行った。



 さて、俺はどうするかな?


 とりあえず、運動をして体を鍛えようかな。


 よし、では、ハイハイで部屋の中を走り回るか!


 いくぜぇっ!!!


 うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!!!!


 ミステリアスホワイトライト教団っ!!!

 必ずぶっ潰してやるからなっ!!!!!


 世界をエロにまみれた桃源郷にするためにっ!!!!!!!



 ん!?

 なんだ!?


 体に力がみなぎってくるような気がする!


 それに、さっきより速く動けているような気がするぞ!


 これはどういうことなんだ!?


 俺、何かやったのか!?


 はっ!

 もしや不健全なことを考えまくっていたからか!?


 バカエロゲーの世界だし、あり得るな!!


 よし、もう一度やってみよう!


 はああああああああああああああああああああああああああっ!!!!!


 息子さんが大活躍しまくる素晴らしき不健全世界よっ!


 我が脳内に現れ出でよっ!!!



 おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!!!!


 全身に力がみなぎってきたぞっ!!!


 やはり不健全なことを考えると、力が湧いてくるようだなっ!!


 さすがはバカエロゲーの世界!

 素晴らしいな!!



 おおっ、こいつはすごいな!

 ハイハイなのに、すさまじい速度で進めるぞ!!


 ん?

 これだけ速く進めるなら、立って歩くこともできるんじゃないか?


 やってみるか。


 おおっ、やはり立てたか!

 歩くことも走ることもできるぞ!


 不健全は素晴らしいぜ!!



 よし、さらにパワーアップするために、もっと不健全なことを考えよう!!


 まずは集中するために、楽な姿勢になろう。


 ベッドの上に、あお向けになった。


 そして、静かに目を閉じた。


 なんだか、瞑想めいそうみたいだな。


 『不健全瞑想めいそう』と名付けようか!!



 では、始めるか。


 不健全な世界……


 息子さん大喜びの世界……


 みだらでわいせつで情熱的で官能的な世界……


 セクシーエロティック変態スケベな世界……


 ぐへへへグヒョヒョヒョぐえっへっへっムヒョヒョヒョうきょっきょっきょっな世界……



 おおっ、さらに力がみなぎってくる!


 これと運動を、しばらく続けるとしようか!



「アニキ、ただいまでげすぜ」


「ああ、おかえり。どうだった?」


「この近くに、目ぼしいものはないでげすぜ。もっと探索範囲を広げてみるでげすぜ」


「そうか。頼むぞ」


「了解でげすぜ。それじゃあ、また行って来るでげすぜ」


 ウィンドウ貞が、部屋を出て行った。


 さて、俺は修行の続きをするとしようか。


 ぬおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!!!!


 我が脳内に現れよ、最高にセクシーエロティック変態スケベな絶世の美女だらけの世界っ!!!!!






 ん?


 おや?

 どうやら不健全瞑想めいそうの最中に寝てしまったようだな。


 いかんな、修行中に寝るなんて……


 あっ、もしかして、ここ二週間、修行しまくっていたから疲れがたまってしまったのか?


 少しは休んだ方が良いかな?


 そうするか……


 って、あれ!?

 ここは、どこだ!?

 いつもの部屋じゃないぞ!?


 寝室ではあるようだがな!


「アニキ、目を覚ましたでげすか?」


「ウィンドウ貞、ここはどこだ!?」


「アニキ、静かにするでげすぜ」


「えっ? なんでだ?」


「落ち着いて聞いて欲しいでげすぜ。実は、ここは敵地でげすぜ」


「敵地? まさかここは?」


「そうでげすぜ。ここはミステリアスホワイトライト教のアジトでげすぜ」


 えっ!?

 ええええええええええええええええええええええええええええええっ!?


 なんで俺、そんなところにいるんだ!?


 いったい何が起こったんだ!?

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