第2話 これが元凶?

 床に一冊の厚い本が落ちていた。


 表紙に『ミステリアスホワイトライト教聖典』と日本語で書いてあるぞ。


 ミステリアスホワイトライトって、謎の白い光ってことだよな!?


 ということは、この宗教団体が謎の白い光とピーという音を出しているのか!?


 あり得るな!


 ならば、やることはひとつだっ!!!!!


「よし、行くぞ、ウィンドウさだ!!」


「行くって、どこにでげすか?」


「ミステリアスホワイトライト教とかいうヤツらのアジトだ!!」


「それ、どこにあるんでげすか?」


「知らんっ!!! だが、行くぞっ!!!!!」


「その有様で、どうやって行くのか分からないでげすが、了解でげすぜ!!」


「よし、出発だっ!!!」


 俺はハイハイで進み出した。



「ピー! ピー! ピーーーピーーー!! ピーピーピーーーーー!!!」


 また親と思われる人に捕まり、ベッドに戻された。


 親と思われる人は、部屋から出て行った。



「くっ、また捕まってしまった…… やはり成長するまで待つしかないのか……」


「そのようでげすね」


「俺はミステリアスホワイトライト教とやらを調べなければいけないのにっ! あああああっ、もどかしいぜっ!!」


「アニキ、そういうことなら、とりあえず、その聖典を読んでみたらどうでげすか?」


「おおっ、なるほど! それもそうだな! よし、読んでみよう!!」



「むむっ、やはりこの教団が元凶みたいだな!」


「何が書いてあるんでげすか?」


「世界と人を健全にすると書いてあるぞ! ここをぶっ潰して、世界を不健全にしなくては!!」


「アニキの方が悪党みたいなことを言ってるでげすぜ」


「何を言っているんだ!? 俺は世界を不健全版にしたいだけだ!! 悪いことなどしていないぞ!!!」


「そうでげすか」


「ああ、そうだぞ!」



「ところで、アニキ、どうやってその教団をぶっ潰すでげすか? アニキと我輩だけで、どうにかできるでげすか?」


「それは知らん!」


「教団というからには、それなりの人数が所属してそうでげすぜ。アニキと我輩だけで、どうにかできるとは思えないでげすぜ」


「ならば、強くなるしかないな!!」


「どうやってでげすか?」


「それも知らん!! 方法を探そう!!!」


「了解でげすぜ」



 ん?

 誰かが部屋に入ってきたぞ。


 背が幼児くらいだな。

 兄か姉か。


「ピーピーピー、ピーピー、ピーピーピー、ピー、ピー、ピー、ピーピー」


 兄か姉が、俺に話しかけているようだ。


 相変わらず、何を言っているのか分からないな。


 あれ?

 確かこの世界はエロまみれだから、光やピーという音で隠しているんだよな?


 なら、こいつはエロイことを言いまくっているのか!?


 多分、幼児くらいの年齢なのに!?


 さすがはバカエロゲーの世界だな!


 そして……


 何を言っているのか、すさまじく気になるぞぉぉぉぉぉっ!!!!!


 早くミステリアスホワイトライト教団をぶっ潰さないとっ!!!!!



 兄か姉が部屋を出て行った。


 最後まで何を言っていたのか、まったく分からなかったな。


 むっ?

 あれは?


「ウィンドウ貞、お前に何か妙なことが…… あっ、また書き換わった」


「何か気になることが書いてあったでげすか? なら、バックログを見ると良いでげすぜ」


「ああ、そうだな。では、見せてくれ」


「了解でげすぜ」


 バックログのボタンを押した。



 バックログに『ヨルシーデ(義姉、美幼女)「ヴェーケスード、お姉ちゃんだよ。ピーピーピー、ピー、ピー、ピー、ピーピー」』と書いてあった。


「なんだこれは!? 鉤括弧かぎかっこの前に、妙なことが書いてあるぞ!?」


「ああ、そこには発言した者の名前とかが出るんでげすぜ」


「なんでこんなものが出るんだ!?」


「そこは不明でげすぜ」


「そうなのか」


 よく分からんウィンドウだな。



「じゃあ、さっきいたのは、ヨルシーデという名前の義姉で美幼女なのか!?」


「そうなるでげすぜ」


「美幼女…… くっ、気になる! 気になりまくるっ!!! 顔を見てみたすぎるっ!!!!!」


「いまは育つしかないでげすよ」


「悔しいがその通りだな!」


 早く育てよ、俺っ!!!



「アニキ、義姉という部分は気にならないのでげすか?」


「えっ? ……まあ、ならなくはないな。なんで義姉なんだ? 何か知っているか?」


「知らないでげすぜ」


「そうなのか…… はっ! そうか!! そういうことなのか!!!」


「何か分かったんでげすか?」


「ここはエロゲー世界! すなわち、あいつはヒロインのひとりというわけだな!!」


「はぁ、そうなんでげすか」


「そうだ! 将来のために仲良くしておかなくてはならないな!!」


「がんばれでげすぜ、アニキ」


「ああ!!」



「一部のピーという音が翻訳されているみたいだな」


「そうでげすね」


「なんでだ? そんな機能が付いているのか?」


「そこもよく分からないでげすぜ」


「そうか」



「発言した者の名前が出ていないものもあるんだな。なんでだ?」


「そこも分からないでげすぜ」


「そうなのか」



「こ、これは!?」


「どうしたでげすか?」


「『ネマデーユ(義母、独身、妖艶)』と書いてあるところがあるぞ!!」


「母親も義理だったんでげすか。奇妙な家庭でげすね」


「そんなものは、もうどうでもいいんだよ!! それよりも、独身で妖艶というところが重要だ!!! いったいどんな姿をしているんだ!? あああああああっ! 見てみたいぞぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!!」


「アニキはお盛んでげすね~」


 早く世界を不健全版にしなくてはっ!!!!!

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