第11話


「きたぞー! キョンシーの軍隊だー!」


 村にはおおきな警報が鳴り響く。後はは何かの足音だ。

 拘置所にいる私には外の様子を確認することはできない。


 時は真夜中。キョンシーが攻めてきたと見て間違いないだろう。


 キョンシーが村を崩す一番ポピュラーなやり方は、大きな隊列を組み、一時的に襲ってから数人の特殊部隊が村に入り込むというもの。


 その後一ヶ月ほどは平和になり、しばらくしてからやってきた旅人に紛れこみ、村に入る。

 一度退けたため、油断しているところを襲う。


 内側からの崩壊が最も多い。


 なら、全員が固まっていれば大丈夫。

 やってくる軍隊さえ退けて、外部から人を入れなければ、自然と侵入はできなくなる。


 これが、私が伝えた村を守る方法。ようは、鉄壁の守り作戦だ。

 …私は何も干渉できないけど。


 とにかく、撃退してくれることを祈るしかない。


×+×+×+×+×


 部下の一人が報告した。


「村の支配が、失敗しました。」


「そうか…」


「村の支配が、失敗しました。」


「あぁ。わかった。」


「村の支配が、失敗しました。」


「もう大丈夫だ。私はちゃんと聞い…」


「村の支配が、失敗しました。」


 ジュワー!



 肉が溶ける音が響く。


「本当に、馬鹿だな。おい、執事。」


「は!」


「こいつの代わりに、村を潰せ。」


「了解いたしました。」


 まだ計画は、終わらない──。

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