第三章

第9話


「本当なのか…… その情報は……」


 村の会議室。見栄っ張りでこじんまりとした部屋は、声がよく響く。


「本当だって、おじいちゃん。」


「もし本当なら、この村は大変なことになるぞ。もう避難した方が・・・」


 村の長老は、ゆっくりと後ずさりを始めた。とにかく、現実から逃れたいらしい。


「周りの村はほとんどやられてる。時間の問題になるよ。」


「なら、どうしろというんだ!」


「私に、考えがある。」


 そう、強く言い放った。

 彼女の名は、佐藤真奈さとうまな。この村長の一人娘である。


 ×+×+×+×+×


「えぇ。本当に大丈夫なの?」


「大丈夫、大丈夫。話は通してあるから。取りあえず、日陰に行こ!」


「わ、分かったけど。」


 バン!


 勢いよくドアが開けられた。


「ちょっと、ドアはそうやって開けちゃ駄目なんじゃ・・・」


「大丈夫、大丈夫。私の家なんだから。」


「何が、大丈夫だ?」


 低い声で、村長は言い放つ。


「あははは。まあ、まあ。落ち着いて・・・」


「落ち着いていられるか!」


 一人、妹は親子喧嘩に巻き込まれていた。


「え、えぇ。これ、どうすればいいのよ。」

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