第8話


「なんで……なんで……お兄ちゃんが壊れてるの?」


 必死に、兄を揺する。けれども、何も返さない。


「ねえ……なんで!」


 目の前の兄は、体が干からび、だんだんと崩壊していた。


「だから、言っただろう。キョンシーは、日の光に弱いと。」


「そんな……」


「気をつけろよ。お前も、もう少しいたらこうなっていた。」


 だんだんと、硬くなる兄。


「じゃあ、妹を、よろしく頼む。」


「は、はい・・・」


 うずくまる妹をなでながら、その動きは小さくなっていく。


「またな。」


 そう言って、兄はこときれた。



『妹を、よろしく頼む。』


 小さな遺言。人間とキョンシーの戦いは、そして全ての運命は、この妹に託された。



 久々のキョンシー豆知識 No.6


 キョンシーの日光への弱さには種類によって異なり、基本的に体がキョンシーになってから時間が経っているほど、日光に弱い。先にキョンシーになった兄の方がより弱いため、兄のみ亡くなる形となった。

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