第6話


 あれ?

 あそこにいるのって、キョンシー?



 遠くに、キョンシーがいる。


 小さな女の子だ。かわいい。


「こんにちは」


 どうやって、声をかけるか悩んだが、挨拶することにした。


「こんにちは!」


「お名前、なんていうの?」


「私はね、佐藤恭子さとうきょうこっていうらしいよ。」


「そうなんだ。私はね、佐藤真奈さとうまなっていうの。」


「一緒だね!」


 か、かわいい……


 うん、やっぱり、キョンシーが危ないなんておじいちゃんの言っていることは嘘だったんだ。




 ×+×+×+×+×




「あいつ、どこ行きやがった?」


 兄は、妹を探していた。なんと、蝶々を追いかけて迷子になるというテンプレを実践したのだ。

 迷惑極まりない。


 そして、間も無く雲から太陽が出て日光がさす。キョンシーは日光によって体がもろくなっていく。かなり、危険だ。


「いた!」


 炎天下の中、まぶしい光に目を細めながら、兄は妹を見つけた。




 キョンシー豆知識 No.5


 キョンシー兄弟は、人間の記憶を残したままキョンシーにするという研究の被験者で、実験の失敗で記憶がほとんどなく、強い後遺症がある。


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