第二章

第5話


 森を抜け、彼らは走っていた。

 草原の上には、満点の星空が、ずっと溶け込んでいた。


「ねぇ、お兄ちゃん。まだつかないの?」


「まだだ。」


 ずっと、ずっと、寝ずに、食べずに。彼らは走り続けていた。いくら、人でないと言っても、さすがにきついだろう。


「休憩して!」


「無理だ。少しでも夜のうちに進まないと。」


「いやだ!」


 彼女は立ち止まった。


「もう、動かないもん!」


 そう言って、彼女は地面に座り込む。足はくたくたで、もう倒れ込む勢いだった。


「はぁ、わかった。」


 やはり、兄は妹に甘い。

 その結論が、揺らぐことはないだろう。

 ただ、自分も休みたいという兄の小さな甘さも、否定することはできなかった。



 キョンシー豆知識 No.4


 キョンシーは、日光に当たると乾燥した体が割れて、崩壊する。

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