第3話


 扉がノックされ、彼が入ってきた。


「おはよう」


 そう、挨拶をする。決まって彼は、


「おはよう。」


 と、返す。変わらない日常に、少し嬉しかった。



「ふふ、今日はね、調べ物をして欲しくて。」


「どうせ、いつものあれだろ?」


「えぇ、そうよ。」


 私と彼とは、変わった縁がある。住所や通う学校が同じなだけでなく、親同士のつながりも深かった。


「今回は、芸術について調べて欲しいの。」


 彼とは、一つ明確な関係がある。依頼者と探偵。


 私の、答えの出ない質問の答えを探す。


 それが、彼との一番の関わりだ。


「芸術とは何か?それが、依頼。」


「また、無理難題だな。」


「だから、あなたに頼むのでしょう。」


 私は、ゆっくりと笑った。楽しみにしてるわよ。





 彼は、田中悠依たなかゆい


 私の想い人で、いつもの友達だ。

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