第106話 大型機械兵

若干大きめな機械兵が二、三体……いや、四体残っているが、この程度は問題ないだろう。


「あるでしょうがあああ!!!!あんなデカブツが四体ですよおおお?!!!!」


「必死だな」


「必死に走らないと死にますからね?!!!!」


「そうですか」


「……って言うか、馬に乗せてくださいよ?!」


「えぇ……?」


それはちょっと、めんどくさいし……。


『熱線放射』


「ホギャーーーッ!!!死ぬーーー!!!」


現在、俺は、オルガンに乗りながら砂漠を駆けていた。


その後ろで、囮共がなんかうろちょろしている。


「にゃあああああ?!!!無理にゃあ!流石にあの大きさは無理にゃああああっ!!!!」


「うおおおおっ?!に、逃げろみんな!私達の攻撃は効かない!」


機械兵(大)は、ブースターで地面を滑るように移動しつつ、背中にあるグレネードランチャーとミサイルをばら撒きつつ、ビームガンを連射してくる。


「エドおおおおお?!!!なんとかしてくださいいいい!!!!」


泣き喚きながら走って逃げるシーリス。


なんだかんだ言って、奇襲による爆撃とかでもない限りはこうやって生き残れているし、他の囮共もちょこまかと動いて他の機械兵(大)の注意をひいてくれているので、それなりに役立つな。


初見の大型エネミーを一度に相手するのは、事故率が高いから、こうしてタゲを取ってもらうだけでまあまあ助かる。


俺はそのまま、囮共を囮として活用しつつ、エネミーの動きを観察する……。


その時、囮共が動いた。


「チクショーッ!エドはアテにできませんから、誰か手を貸してくださいーっ!」


「一体までならなんとかー!」


「あ、アニス!合図の後にお願いします!クララっ!」


「はいっ!」


「防壁お願いします!ちょっと保てば良いんで!」


「分かりました!」


おや?


何かするのか?


『ロックオン。排除、排除、排除……』


「今です!二人とも!」


「『かげぬい』!」


「行きますよ……、『プロテクション』!」


機械兵(大)の動きが止まる。


そして、シーリスが杖を掲げて……。


「『プロミネンス・レイ』ッ!!!!」


火属性の魔法を放った。


それは、機械兵(大)の背中から伸びるグレネードランチャーの銃口を貫き……。


『———?!!?!?!』


砲身内の弾頭に着弾。


大爆発を起こした……。


それにより、機械兵(大)の一体は、背中から肩が大きく抉れて、腕一本も弾け飛んだ。


その爆発の余波は、クララのプロテクションで防いだようだ。


「や、やった!」


「いや、まだだ!」


そう言って横から現れたナンシェが……。


「内部が露出した今ならいける!『貫通射撃』っ!!!」


矢を放ち、装甲内部に、俺が与えた『稲妻の矢』を突き刺す。


『ビ、ギギ、ゴガ……!!?!?!』


やはり、機械には電気がよく効くということだろう。


痺れたかのようなや痙攣した機械兵(大)は、倒れ込んできて……。


「あ、危ないっ!」「うわーっ!」


「イヤーッ!『蹴撃』ィ!!!」


それを庇うように前に立ち、ランファが蹴り上げを放ち仰向けに倒す。その際に、蹴りで機械兵(大)の頭が吹っ飛んでいった。


「や、やったあ!」


「やれる、やれるんだよ、私達は!」


「やりました!」


ふーむ、囮共もそこそこできるようになっているな、やはり。


この程度のちょっと硬いエネミーに対処できるならば、肉盾兼固定砲台にはなる。


雑魚散らしに丁度いい。


さて、そろそろ動きも覚えたな。


俺はグレートソードを出して、オルガンの手綱を握りしめた。


「行くぞ、オルガン」


嘶くオルガン。


駆け出し、跳ぶ。


飛来するミサイルを足場にしつつ、疾風の速さで空を走る。


迎撃のビームをグレートソードで弾き、グレネードランチャーの弾頭を爆発しないように掬い取って投げ返す。


爆発。胸の露出したコアをグレートソードで切断。


そして残りの機械兵(大)は二体。


オルガンに騎乗したまま宙返りし、一旦オルガンを還しつつも俺はまたもや飛来するミサイルに、ホーンから取り出したレイピアを刺しつつ着地した。


そして、重心移動で乗っているミサイルの軌道を変えて、生き残りの機械兵(大)の方へ。


『迎撃シマス』


もちろん、ミサイルは機械兵(大)のモノアイから放たれるビームで迎撃されるのだが……。


「『霞の踏み込み』」


俺はそれより早く、踏み込んでいた。


そして、機械兵(大)の首筋、装甲がないところに……。


武技発動。


『追い討ち』


……本来ならば、倒れた敵に刃を突き入れて大きなダメージを与える武技を発動。


首筋に、深々とグレートソードが突き刺さる……。


そしてそのグレートソードの柄頭に。


『蹴撃』


蹴りを入れて、内部に押し込む。


『bbbbeeeeeep……?!!?!?!』


機体の内部にめり込んだグレートソードは、コアを破壊して、胸の下の排気口から飛び出した。


そして俺は、爆発する機械兵(大)から離脱しつつ……。


『ビームソード、起動』


迫り来る最後の一体のビームソードを、空中にて、バックラーでパリィした。


そこに、先ほど倒した機械兵(大)の爆発により飛んできたグレートソードを掴みつつ……。


武技発動。


『巨人殺し』


自分より大きなエネミーに対して大きな威力を発揮する武技、隙が大きいが威力もまた大きい、斬り上げの一撃を放つ。


それにより、最後の機械兵(大)は、胸の装甲板にヒビが入りつつも、あまりの威力に身体が少し宙に浮いて、転倒する。


そこに……。


『降臨撃』


グレートソードを構えたまま、落下の衝撃を利用した突き。


割れた胸装甲に。


『追い討ち』


で、トドメをさした。


こんなものだろう。




「「「「……できるんなら最初からやって?!!?!?!」」」」

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