第94話 月龍の武技
横合いから伸びる、ロングソード。
俺の斬撃は弾かれた。
「やりおったか……!勇者殿、悪いが斬らせていただくぞい!」
剣聖か。
「こ、こいつ、狂っているのか?!!?!外交の場だぞ、パーティー会場だぞ?!剣を抜くなんてイカれている!!!」
叫ぶ砂漠の国の王。
「うるさいのです!退がってるのです!皆、エドワード君を止めるのですッ!!!」
エルフの女王。
「皆様、お退がりください!勇者の相手は……、我々がする!」
騎士団総団長。
「ええい……!こうなることはわかっていたろうに!我の魔法で黙らせる!死ぬなよ、貴様ら!」
賢者。
「回復はわたくしが担当いたしましょう!」
女教皇。
「邪、魔、を……、するなぁア!!!」
「ぬがあああっ!!!」
剣撃、剣閃。
一息で十七。
内、五本を剣聖が、七本を騎士団総団長が弾き、いなす。
残りの五本は。
「『ひかりのころも』!」
女教皇の力場盾で弾く。
「ゆくぞ!スキル発動……、『ざんてつけん』ッ!!!!」
剣聖。
防御貫通系斬撃。
「喰らえぇ!『ひかりのつるぎ』ィ!!!!」
騎士団総団長。
神聖属性と物理属性の複合刺突攻撃。
前者は身を捩って避け、後者は身を捩る反動で弾く。
弾く時には……。
武技発動。
『パリィ』
「グゥっ?!!」
「いかん!」
殺す。
前にいるのであれば。
俺が刃を振り上げると……。
「御免!」
……背後から、一撃。
「拙者、ハーフリングの隠密……、『忍者頭目カクレマル』なり。勇者殿、悪いが……、仕留めるでござる!」
俺は、パリィで体勢を崩した騎士団総団長を仕留めようとして振り上げた剣を……、更に振り上げる。
「何っ?!」
そうして、背後まで振り上げた剣で、忍者頭目とやらの短剣を弾く。
「振り返りもせずに……?!背後に目でも付いてるでござるかっ?!」
そこに。
「行くのです!『カッター・サイクロン』!」
「こっちだ!『スコーチング・レイ』!」
エルフの女王、賢者の魔法。
広範囲魔呪属性斬撃と、直線型炎熱属性光線。
『霞の踏み込み』
これには、当たり判定を消して対応する。
「なっ……?!」
「慌てるな!『れんぞくまほう』発動!『ライトニング・クラウド』!」
電撃魔法、散布型。
威力は低。
「バカなっ?!ライトニングクラウドに構わず突っ込んでくるッ?!」
「行かせんぞい!『はやぶさのけん』!『しっぷうのけん』!」
剣聖か。
術師を先に片付けたいが……。
「そこでござるっ!『かげぬい』!」
何……?
見たことのない系統の技術だ。
足が動かん。
「ここだ!『せいぎのちかい』……、『かみのかご』……、『しんせいなるやいば』!!!」
バフ乗せ神聖属性と物理属性斬撃、これは回避が……、ああ、足が動かんのか。
であれば。
武技発動……。
「うおおおっ!!!くらえええっ!!!」
「……やったか?!」
———『完全鉄壁』
ほんの一瞬、全てのダメージを無効化する……。
「バカな?!」「ノーダメージじゃと?!」
「ええい、『きりがくれ』……、『あんさつ』!!!」
「『まほうかくだい』!『スコーチング・レイ』!」
「今のうちに……、『せいなるまもり』!」
チッ、連携が取れている。
しつこいな……。
「ひ、ひいいっ!」
……あ"?
ララシャ様を侮辱した肉の塊が逃げている?
は?
何だ?
これは、何だ?
こんな程度の雑魚共に、足留め?
……鈍り過ぎていたか。
ああ、もう、駄目だ。
殺意だ、もう殺意しかない。
武技、発動。
———『月光の龍吼』
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