第40話 臨公パーティ結成

臨公パーティを結成した。


臨公パーティでは、結成時にお互いのデータを確認し合う必要があるらしい。


データというのは、冒険者ランクとジョブ、大まかなステータスとスキルについて。


意味分からんな……、それを教え合ってどうするんだ?


そもそも、前から思っていたが、自分の手の内をペラペラ喋るのは三流のやることだろうに。


ムーザランの害悪エネミーの皆様方は、名前が『剣士◯◯』とかでも、飛び道具を使ってくるなどしてくるぞ。


むしろ、表向きには『聖騎士◯◯』などと名乗っておきながら、発狂モードに入ると神聖属性ではなく暗黒属性を使い出したりするクソゴミなんてザラだ。


一応、設定上は、高潔なる聖騎士が闇に飲まれた姿であるみたいなアレだそうだが……。


聖騎士という名前からメタ読みして、神聖属性耐性の高い装備でカチコミに行くと、暗黒属性で殺される。


何故なら、ムーザランには、対人でTierの高い装備はあっても、「これさえあれば万事大丈夫!」みたいな雑に強い装備はないからだ。


つまり、神聖属性に強い装備は、往々にして、相対する暗黒属性に弱いというワケで……。


まあ、そういうことだ。


「では、私からステータスを公開しますね!」


……は?


×××××××××××××××

 

シーリス・ハイブリッジ

レベル:37

魔法使い

Eランク冒険者

 

種族:人間

性別:女

年齢:16歳

 

HP:150

MP:322

ちから:65

きようさ:80

すばやさ:120

まもり:94

かしこさ:288

こころ:150

うん:13

 

・スキル

あくうん

 

・魔法

クリーン

ティンダー

クリエイトウォーター

ファイアアロー

ファイアウェーブ

ファイアボール


×××××××××××××××


えっ、何これ怖い。


なんか、シーリスの目の前に半透明の板が出たんだけど。


そこに、シーリスのステータスが書かれている。


どういうことだこれ。


「純攻撃型の魔法使いか……」


「まあ、Eランクにしては上等にゃんね」


「魔法も火属性単一とは言え、基本三型を修めているな。これは死にスキルになりにくいぞ」


「単体攻撃の『アロー』、短距離扇型範囲攻撃の『ウェーブ』、遠距離円型範囲攻撃の『ボール』だったにゃん?下級魔法の基本にゃ」


「そうだな。下手に基本魔法から外れたようなものばかり修得している奴より、信頼できる」


エルフと猫女はそう言って納得の表情を見せたが、俺は何一つ理解できていないぞ。


どういうことだこれは。


「あ、エドってもしかして、冒険者カードの使い方知らないんですか?」


「カード……、これはカードの効果なのか?」


「はい、これはこうなっていて……」


……どうやら、冒険者ギルドに登録した時に受け取ったカードには、AR立体映像でステータスを他人に見せられるようだな。


ステータスは自由に隠せるが、偽装した数値は出せないそうだ。


「で、あたしはこれね」


×××××××××××××××

 

アニス・ウェットランズ

レベル:54

盗賊

Dランク冒険者

 

種族:人間

性別:女

年齢:18歳

 

HP:200

MP:88

ちから:144

きようさ:203

すばやさ:212

まもり:110

かしこさ:156

こころ:73

うん:89

 

・スキル

かぎあけ

しのびあし

くちぶえ

ぬすむ

ききみみ

 

・魔法

クリーン

ティンダー

クリエイトウォーター

ブラインドインク

ディテクション

エスケープスモーク


×××××××××××××××


次に、アニスがステータスを開示した。


「純盗賊にゃ」


「ふむ、珍しい。探索に特化した純盗賊か。Aランクのスティーブン殿がいらっしゃるならば、戦闘能力よりもむしろ探索能力が高い方がバランスは良いな」


高評価だ。


そして次は。


「私はこうなっております」


×××××××××××××××

 

クララ・レインシュライン

レベル:64

神官

Cランク冒険者

 

種族:人間

性別:女

年齢:19歳

 

HP:210

MP:238

ちから:125

きようさ:180

すばやさ:175

まもり:134

かしこさ:202

こころ:287

うん:183

 

・スキル

いのる

めいそう

おうきゅうてあて

 

・魔法

クリーン

ティンダー

クリエイトウォーター

キュアポイズン

ヒールウーンズ

ヒールシリアスウーンズ

ディスペル

ターンアンデッド


×××××××××××××××


クララのステータスだ。


「これは凄い!」


「万能型神官にゃ!『ヒールシリアスウーンズ』持ちなんて、Bランクでもおかしくない掘り出し物にゃあ!」


エルフと猫女は大喜びしている。


どういうことだ?


「『ヒールウーンズ』は回復魔法のことですが……、『ヒールシリアスウーンズ』は、多少の肉体欠損すら治すものですな。『ヒールシリアスウーンズ』が使えねば、司祭の資格は得られないそうです」


横からジジイがそう言ってきた。


「まず、司祭がどれほどの格なのかが知らんのだが」


「これは失礼しました。まず、神官は……」


話を聞いた。


『神官』は神に仕えるものの総称だが、平社員のようなものでもある。


例えば会社で、「うちの社員が〜……」と言ったとしよう。


それは基本的に、平社員などの大勢を表現するだろう。


それと同じで、神官は回復魔法を使える奴はみんな神官で、ヒラ神官と言える。


そのヒラ神官の一つ上が助祭。


ヒラ神官のリーダー、部長のようなものだ。


その上が司祭なんだそうだ。


司祭は、教会一つを差配する支店長のようなもの。


支店長と言うと、大したことのないように感じるかもしれない。


だが、実際のところ、この世界の教会は一万軒あるかどうかだ。


村レベルでも必ず一つはある教会だが、日本のコンビニのようにボコボコその辺に乱立している訳ではない。


世界で一万人くらいしか座れない席と言えば、かなり大きいものだ。


この世界は中世ヨーロッパの皮を被った十九世紀くらいの社会なので、かなり人口も多いように感じられる。


その中で一万人だぞ、かなり希少だ。


で、その更に上に、教区という教会の定めた管轄を管理する『司教』がおり、全ての神官の頂点に立つのが『教皇』だそうだ。


因みに、他のジョブとやらにも階級はあるそうだ。


魔法使い、魔術師、魔導師、賢者みたいな。


まあ、うん。


興味は特にない。

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