第五……いや4.5章とか? 女の子を構うことでちゃんと旦那さんやってますよアピールさせてくださいよ
第61話 か し こ い !
さて、気に食わん奴を全速力で虐め殺し、満足した俺だが。
「……そういや、学術都市に行くんだっけ?」
と、本題を思い出していた。
ああ、そうね。
確か、学術的な権威をゲットして、名実共に偉くなり、偉そうにしたい!と、そういうアレがあった気がする。
人文系とか殆ど権威のみで実は伴わないんじゃ?みたいな話は……、やめておこうか。
いや、それを言ったら俺も経済学部卒で文系と言えば文系だし。その後にハーバードにあるビジネスのスクールでMBA得ているとしても。
それで「金色男」の証券会社でアナリストやって、すんごい成功者コースから、嫌いな上司殴り殺して国外逃亡って普通に狂ってるなあ。
でも仕方ない、「俺に頭を下げさせた奴はみんな死ね」の啄木メンタルで生きてるから……。実際に実行力が伴っちゃっている今は、頭下げさせようとしてきた奴ら皆殺しにしてるし……。
でも本当にさ、仕方ないだろ?ムカつく奴は殺したいじゃん。
アレかな?虐められてもただ耐えることがカッコいいとか思ってるタイプ?よくないよそういうの、殺さなきゃ。
いや本当に、あの時。
ムカつく上司殺した時……、マジで気持ちよかったなあ……。
あの気持ちよさを味わえるのならば、立場なんて捨てるわそりゃ。
逆に、立場より、舐められることの方が耐え難くない?
「旦那ぁ、そろそろ到着するでやんすよー」
「おー」
おっと、到着か。
『学術都市バレア』に……。
学術都市バレア。
なーんだかよく分からないデカい建物が多い、石畳の街だ。
デカい建物が多いってことは、建築学が進んでいるってことで、建築学は数学や幾何学、材料工学に工業と様々な分野の上に成り立つものだから、学術都市ってのはマジなんじゃないんですかね?
人種は、フェイ族が多いかなー?所謂エルフな、こいつらは頭だけはいいから。穴の使い心地もまあ良いか?
後は人間が多いが、シャドウフォークや、フェイ族の他のファーブラーも多い。リカントはほぼいないな。リカントは頭が悪いからだろうかね。抱き心地はマジで良いんだけどねえ。
道行く人の数も多いなあ。
これだけの人がいて問題が起きてないとなると、司法関係もしっかりしてるか。
……何度も言うが、これは俺の性格が悪いといういつものアレではなく、この世界は純粋にクソなので、ということだね。
日本人みたいに金持ちでお行儀がいい腑抜けの集まりじゃないからねこの世界の野蛮人共は。こんな風に、一つの都市に人が集まると、ほぼ確実に何かしらの犯罪が起きる。
基本的には、レイプと盗みかなー。殺人もまあまあ多いよ。後は人攫いとか。
そんな終わっている治安と、終わっている人間しかいないこの世界で、この規模の都市で、表面上だけでもちゃんと「都市」をやれてんのは偉い。
いやマジで、治安崩壊してないだけで褒められるんだよ、この世界。面白いでしょ?
そりゃあ、「日本人らしい普通の生活」を望む奴は「寝言言ってんじゃねえボケ」と虐め殺したくもなるってもんよね!
その理由は……、やはりアレか?
あらかじめ聞いていた話だが、「市民権」の仕組み。
この町では、一定以上の所得を持つ人間は投票権を持ち、統治者を投票で決めるのだとか。戦前日本の制限選挙みたいなやつだな。
見れば、どこにでもいる道具と名高いリカント共は、相変わらず見窄らしい格好で荷運びなどの力仕事をやらされている。
こいつらは、奴隷。投票権なき労働者階級だな。
そしてそれを、フェイ族と人間の、いい服を着た連中が横切る。リカント共は土下座して、そいつらが横切るのを待つ。
こっちが、市民か。投票権がある、納税者達だ。
はえー、よくできてるね。
「お、いい感じの街でやんすね」
弟子、ザニーが言った。
「んー?同族のリカントが奴隷になってんのに、良い街カウントしちゃって大丈夫そ?」
「えっ、旦那、それは……、なんかあっしのことを陥れようと……?」
ビクつくザニー。
「そもそもリカントは、同じ部族の仲間でもない限り別種だと思ってるでやんすよ?あっしはイタチのリカントで、アイツらは……オオカミか何か?関係ない奴らでやんす」
「それで?」
「それで……、そもそも、あっしらリカントは、人間様に使っていただけるだけでまだマシな扱いでやんすよ?あっしなんて、雇ってすらもらえずにスラム暮らしでやんしたし……。ほら、見てくださいでやんす、あいつら!」
ふむ?
「あんなに筋肉ついてて、たくさん食い物をもらってるでやんすよ?奴隷ったって、良い扱いでやんしょ?碌なもん食わさずに働かされて、死ねば捨てられるって奴隷も少なくないでやんすよ?」
「それで?」
「そもそも、奴隷が嫌なら、冒険者や森に戻って部族暮らしをすりゃあ良いんでやんすよ!そうしないってことは、現状に満足してるってことでやんす!」
ふーん。
「……あの、あっしは旦那に感謝してますんで、捨てないでくれでやんす」
縋るような目をしてくるザニー。
ううん……。
「別に、捨てようとまでは思ってねえよ。お前は俺の子供も産んでいる訳だしな。ただ……」
「ただ?」
「この前のアホを見て、人権意識に芽生えちゃってないかなーって」
あっちの子の方が羨ましいでやんすー!ってんなら、もうちょっと「配慮」するかなーって。
「『人権』……?ああ、なんかそれ、空中都市にある本で読んだでやんすね。でもあんなの、夢物語では?何百年もかけて、世の中の全てをよくしないと……」
ほう。
「お前、バカだと思ってたけど意外と頭回るな?」
「いや……、旦那って、バカっぽい女は大好きでやんすけど、本物のバカは嫌いでやんしょ?あっしらも勉強してるんでやんすよ。捨てられたくないんで……」
うーん、これはびっくりだぞ。
内心、結構バカにしてたんだが、俺が思った以上に賢い。
この世界のバカな愚民共も、拾い上げて、勉学に励めるような環境を用意してやれば、それなりにはなるもんなんだな。
「ザニー、バカにして悪かったな。まさか、そこまで俺の考えを理解しようと努力してくれているとは思わなかった。嬉しいよ」
撫でてやる。
「んっ……♡今の環境、お貴族様でも望めないくらいに幸せなんだって、あっしらは分かってるでやんす。これからも、お側においてくださいでやんす!」
ふんふん……。
俺と価値観を共有できる女達を増やす計画。
勝手に進んでいたようだ……。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます