第60話 本気で人生生きてないやつ、楽しいか?
「おい、ガキ。お前のお仲間も、さっきのガキも、みんな生き返らせてやるよ」
「は……?」
「いや、思ったんだよ。『本気』で生きてない奴を殺しても、面白くないなーって」
「な、にを……?」
「お前は今後は、流石に心を入れ替えて、もうちょい現実見るだろ?そして、努力して、強くなるだろ?その方が、潰した時に面白い」
「そんな……!これ以上、僕を……!もうやめてよ、虐めないで……!」
あー……、はい。
「前世についての邪推はやめるって言ったな?すまんありゃ嘘だった。お前アレだな?いじめられっ子って奴だな?そう言う奴はウジウジしててムカつくからいじめの対象にするのであって、いじめて面白い訳じゃないんだよなー」
「や、めて……!お願い、します……!」
「アレでしょ?無駄にカッコつけてるからキモがられてるんでしょ?はいはい、あるある。見るからに知能に障害がありそうな奴より、なんか挙動不審で見てて不愉快な奴の方が目の敵率高いもんね?」
「あ、ああ……!」
「お前さぁ、『本気で生きてない』でしょ?」
「は……、あ……?あ、あ、あ、アアアアアアア!!!!!!!」
うわ、なんかトラウマとか刺激しちゃった感じ?
かなり大きな音が出てるわー。
「あーはいはい、その方向でいじめられてたんだ?周りのみんなが色々と青春してんのに、お前だけなんか冷笑っての?一歩引いたポジションを気取ってて、それがムカつくっていじめられてた、と」
ありがちだなー。
「だって、だって、僕、僕は」
「うんうん、それはお前が悪いね。じゃ、(剣先を心臓に)入れるね……?」
「ぎゃあああああ!!!!」
はっ?!
つい、いつものノリで刺しちゃった!
危ない危ない、死なない程度にフェニックスに治療させて、と。
「いやマジで、お前が悪いよ。そういう斜に構えた奴が一番ムカつくもん。で、異世界に来て、チートを手にしたから、急に頑張ろうと思ったって?舐め過ぎだろお前」
平和で豊かな地球日本に生まれただけで十分なチートだろ!とか、そういう説教をしてそげぶ!とかではないが……。
「この世界は地獄で、ゴミ溜めで、クソ以下だが……、お前の為の、お前を救済する為の極楽浄土じゃねえ」
これに尽きるんだよな。
もちろん俺は、この世界を俺のおもちゃだと思っているが……、それを主張するなら、俺もおもちゃにされても文句は言えねえ。
おもちゃは嫌なので、当然、努力はした。
修行シーンを長々と描写するのは、今は時代遅れなんで手軽にチートしているが……、これでも、命をかけたのは一度や二度じゃきかねえぞ?地の果てで強大なクソモンス相手に夜通しバトル展開もあったもんだ。
……だが、こいつは、そんなことはしてない。
ただ、流されるようにチートを使い、何の努力もせずに、程々にやって生きてきただけだ。
要するに……。
「『本気出して失敗したら、自分が無能だって分かっちゃう!』ってか?ビビリにも程があるわい」
「あ、あ、あ……!アアアアアアア!!!アアアアアアア!!アアアアアアア!!!!!」
誰にも言えない心の内を読まれたからか、狂ったように叫ぶ悠太くん。
「不良はどうせ将来落魄れる!パパ活女共はSNSで暴れる気狂いババアになる!でも国が悪いから勉強頑張っても無駄!スポーツなんてプロになれないんだから無意味!……こんな感じで、あらゆることに言い訳してた感じでしょ?そういう奴いるよね〜!経験則だけど、そういう奴が一番惨めな人生歩んでるよ♡」
「ぁああぁぁああああ!!!!!やめろあああぁあああ!!!!」
「……けど、これからは本気で生きなきゃダメだぞっ♡だって、耐えられるか?心の弱いお前が、『もう一度仲間を失うこと』の苦痛によぉ?」
「ァ、あ……!」
そう、そうだ。
だから、生き返らせるんだ。
お前が集めてきた仲間は、全部、全部、お前の「枷」だ。
「お前はこれから、今度こそ『本気』で生きるんだ。自分の底の浅さに直面しながら、血と涙をぶちまけながら死ぬ気で努力するんだ。……そして俺は、それを俺の努力と才能で打ち破る!その時お前は、『本当の敗北』を味わうんだよ♡前世のいじめられっ子時代でも味わえなかった、マジもんの土ペロをよぉ!!!!」
こういういじめられっ子って、なんか知らないけど「効いてないアピール」するもんなあ。
それって、「本気で争ったら負けないんだけど〜……」みたいなメンタルだからそうなんでしょ?
要するに、負けるのが怖いから、勉強スポーツ恋愛ケンカとあらゆる場面で勝負を降りたんだわ。一番ダサいよそういうの。
だから、本気出させてから、負かす。
それはもうセックス以上の快楽だッ!
「う、あ、あ……?!いやだああああああああ!!!!」
「もう遅い、蘇生は発動している!そう言う訳で……、『またな』?ははははははははははははは!!!!!」
「師匠、相変わらず人の心ないでやんすね!」
「栄養ドリンクのタウリン位は配合されてるよ」
「1000mgってコト?!??!?!」
「そんだけありゃ良い方だよ、この世界じゃあな」
「で、でも、意外っすね?師匠は、自分に歯向かってきた奴らは、王侯貴族でも絶対に殺すのに……」
「ん?だから、殺したじゃん?」
「生き返らせたでやんすよね?」
「ああ、アレね。生き返らせる時に、悠太くん含めて全員に『爆弾』仕込んでるから」
「……は?それは……、何かの比喩、でやんすか?」
「いや、マジで爆弾。全員の心臓と脳に、合図一つで起動するタイプの魔法爆弾と物理爆弾を仕込んである」
「え、ええ〜……?なんか、こう、ライバル登場!みたいな話だったんでは……?」
「んな訳ねえだろ、全部詭弁だよ。ただ、追い詰めたのにすぐに諦めて面白くなかったから工夫しただけだ」
「……爆弾の意味は?後で殺すってことでやんすか?」
「後で殺すのは、まあそうだけど……。もし、マジであいつらの方が強くなって攻めてきたら困るじゃん?保険だよ」
「い、いや、そう言うのって……、良いでやんすか?!プライドとか……?!」
「ある訳ねえだろ?勝ちゃいいんだ、勝ちゃあよ」
「もー……、子供もやっちゃうし、びびったでやんすよー!」
「えー?だって、甘やかされたガキってムカつかない?前世でも見る度に『殺してえなあ』まって思ってたんだけど、今世では殺してOKだからさあ」
「確かに、働けない年齢の子供なら殺してもまあ……?でも、女の子だし、殺さないかなーって」
「俺は俺に従う女が好きなんであって、女なら何でも良い訳じゃないよ?」
「そうでやんすか?」
「後は純粋に、ガキ一人殺すだけでムカつく奴を絶望させられんなら殺し得でしょ」
「まあ、違いないでやんす」
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