第54話 遭難中に来客というクソデカ矛盾はスルーしてね♡

海鮮トマトチゲ鍋。


「はふはふ……、んー、辛くてんまいっす!身体があったまってサイコーでやんすねえ」


いっぱい食べる君が好き。


何をやっても美味い美味いと食う弟子は、本当に可愛い。


その分、夜には俺が弟子を食べてる(性的な意味で)ので平等だね!


そんな食事の最中……。


「はぐ、んぐ、ぐちゃぐちゃ……」


「こら、口を閉じて食えー」


「あ、はい!」


リカント達のマナー違反を発見。


この子達はまだ修行が足りんな。


一般的なマナーを守れないことが稀に良くあるので、こうしてその度に指摘する他ない。


咀嚼する時に口を閉じろ、とか。食器を舐めるな、とか。そんなレベルから教えなきゃならないから大変だねえ。


うち(空中都市)の中でも、貴族の嫁らは、リカントの嫁らの無礼っぷりによく腹を立てているので、リカント嫁にはちゃんと礼法を叩き込んでいる。可能な限りな。


一昼夜でどうにかなるもんでもないから、教育係の精霊やメイドなんかに継続してやらせているが……。


中々難しいねぇ。


俺としては、上手に俺のナニをしゃぶれるんならそれで良くね?くらいの感覚ではあるんだが……、一応の貴族家として、最低限の体裁ってのがね。


愛人にもある程度の品性を求められちゃうってえ話だな。


けどまあ、レベルを上げてやって少しは頭が回るようになっててさあ。覚えも聞き分けもいい方だよこれ。


うん……、これでも頑張っている方なんじゃないの?褒めて伸ばしてこうぜ?


……しかし、見た目通り獣同然のリカント共を、ここまでしっかり教育したメイド共には感謝感激だな!


ボーナスでも出してやろうか?


……いや、凡そヒトが手に入るものなら何でも与えてるから、何が欲しいのか分かんねーな?


「かぁーつ!辛くて旨いな!」


「暑くなってきたぁ……」


「魚美味しい〜!」


「お野菜も美味しいよ!」


「フフフ素人ですね。私達のようなできるフェイ族はキノコこそ至高と理解しているのです……!」


……見た感じ、全員、あまり好き嫌いとかはないようだ。


殆どが「何でも食えなきゃ死ぬ」くらいの立場を経験しているから、何でも食うんだよな。


ただ、注意しないと肉と甘いものを無限に食うので、こうしてバランスの良い食事をさせてやる必要がある。


レベル上げてやってるから不摂生くらいじゃ死なんだろうが、スタイルの崩れや肌荒れはダメだからな。


さて、そろそろ締めに棒ラーメンをぶちこむか。


刻んだ小ネギと卵も落として……っと。


「「「「うまーい!」」」」


で、最後は、炬燵に入りながら配布したバニラのシュークリームアイス。


辛くて熱々の鍋の後に、ひんやり甘ーいアイスは格別だァ……!


「「「「ふわああ……!」」」」


「幸せだべ〜!」


「あー……!森には無かった味の濃〜い甘味!最高ですね!」


「はあ……、幸せでやんすねえ。この生活を守る為なら、あっしは何でもするでやんすよー!」




で……、外。


未だに、びゅふおうおうと吹雪が吹いている。


鍋食べて炬燵に入ってイチャイチャしているが、よく考えるとこれ、遭難してるんだよなあ。ドラちゃんもアシリパさんも迎えには来てくれなさそうだ。


「あ、あの……、大丈夫なんですか、これ?」


「ひょっとして、戻れないんじゃ……!」


シャドウフォークの双子、ココナナとルルリリが、不安そうな眼差しを向けてくる。


なので俺は、二人のことを抱きしめて、大丈夫だと言ってやった。実際大丈夫だし……。


と言うかもう、遭難している!閉鎖環境だ!という要素は、今俺の中では、この子達を抱くときのスパイスにしかなってない。


良いじゃんほら、こういう閉ざされた領域で女の子と一緒!やることもないし、寒いから肌と肌を合わせて温め合うしかない!みたいな。


海外に修学旅行に行ったら船が難波して遭難し、何もない無人島でクラスメイトのギャル達と僕しかいない空間で……?!みたいなノリのエロゲー、あるだろ?ツクール製で、ダウンロードサイトで1980円くらいのやつ……。


非常にエッチでよい。興奮してきた。


まだ半ばロリと言って良いくらいの双子を両脇に侍らせて、俺は二人の太ももに手を這わせる……。


「あ……♡」「もー、旦那様のえっち♡」


夜になったら抱いてやるか。


それまでは、こうやっていちゃつきながら、各々が好きなことをやって時間を潰す。


やることと言えば、フェイ族の子達は本を読んでいるし、シャドウフォークの双子は携帯ゲーム機を弄っている。


リカント衆は、炬燵に入りながら謎の格闘ものアニメを観ている……。


弟子?


弟子は昼寝中。


俺はパソコンでSNSをやっているな。


え?ああ……。


『召喚(サモン)』のレベルは、今もう20を超えているからさ。


最早、「インターネット」の概念を召喚して、無理矢理、地球のインターネットにこちらの世界の機器を繋げることすら可能にしたんだよね。


観たかったあのドラマやこのドラマの続き、話題の映画、新作ゲーム……。


全部手に入るという訳だよ。


更に言えば、最近は別世界、別次元、別時間のインターネットや物質をも召喚できているから、いろんな奴らと関われておもろい。


後は、空中都市にもインターネット回線を通したから、嫁達のSNSを見たりとかもしてるなー。


もちろん、地球のインターネットはカスなので、かわいいかわいいうちの子達が悪い影響を受けないように、空中都市のインターネットとは接続していない。


空中都市のインターネットは、この世界用のものだ。詳しくはないが、ローカルインターネットということになるのかな?


とにかくそうやって、皆が休憩をしていると……。


トン、トンと。


遭難しているはずの俺達のログハウスを、何者かが叩く音。


来客だと?


ふむ、面白いねえ。


出てみるか。


扉を開くと、そこには……。




「こんにちは、新しい転移者さん。私は、『地球同盟』の者です」




黒髪黒目の、日本人が立っていた……。

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