第42話 結局いつもこのパターン

旅に出て一ヶ月後。


俺は、隣で寝ている五人の船員達のおっぱいを揉む。


「ほら起きろー、船長にどやされんぞ」


「やぁん!もー、旦那ってばー!」


「ふぁあ……、おはよーさん」


「んっ……♡ちょっと旦那ぁ、どんだけ出したのさ?まだ腹ん中に残ってるんだけどー!」


俺は浄化の精霊キリンを呼び出してパッと片付けてから、下半身にしゃぶりついている弟子の頭を撫でてやる。


「よう、ザニー。朝から精が出るな。いや、俺が出すんだが」


「んぷっ、ぺろっ……んぐっ。っぷは、おはよっす、師匠!」


「……これから飯食うのに、よく飲めるな?」


「へ?何ででやんすか?」


「いや、汚くない?」


「別に……?師匠のを飲むの、好きでやんすよ?」


まあ本人がそれでいいならいいんじゃないかな。




俺はいつものバックパッカー装備をして、船内の食堂へ行く。


まあ食堂っつったって、ここは船員達のハンモックがかかった大部屋らしいけどな。


この船の中には、「食堂兼広場」「個室1」「個室2」「倉庫」「船長室」がある。


船長室には、地図や航海日誌に資料などがある。


個室1は元々ガラシャの部屋らしいが、ここを俺が借りている。


今はメンシアの部屋である個室2に、ガラシャとメンシアがいるな。


そんな訳で、俺は食堂に来た。


「よう、旦那!昨日も凄かったねえ?」


「ん、おはよう」


ガラシャとメンシアに迎えられつつ、俺は他の船員達にも手を上げて挨拶。


そして俺は厨房に立ち、早速。


「よーし、じゃあ今日も料理講座を始めていくぞー!」


「「「「おーっ!」」」」


パンを焼き始めた……。


まずは捏ねるんだが、その間に大鍋で湯を煮立たせておく。スープに使うのだ。


捏ねるのは、船員達にやらせる。


「いやあ、嬉しいなあ」


「ほんとほんと。アタシら、孤児だからさ。母親からパンの焼き方とか教えてもらえなかったんだ」


「そうそう!女なのにパンも焼けないのかーって思うと、結構傷ついたよなあ!」


濡れた布巾を生地に被せて発酵させて、その間俺はスープを作る。


前まで厨房を任されていたと言う、ちょっとぽっちゃりした船員に野菜を切らせて、俺は大きな鉄板で一気にベーコンと卵を焼く。


肉体労働者向けに、塩辛いベーコンを1cmほどに分厚ーく切ってベーコンステーキにして、それに砂糖をたっぷり入れたスクランブルエッグを添える。


そうしているとパンが発酵したな、オーブンにぶち込もう。家電は最高だぜ!


できたパンは、簡単に作れるちぎりパン。


これを千切って、一人四つ。


そして、スープ。


切られた野菜をぶち込んで、牛乳に鶏のスープストック。バターも入れちゃう。


ミルクシチューだ。


デザートに日本のやたら甘い葡萄を一房つけて、お盆に乗せて配る。


おかわりは二回まで可!




昼間は、船員達に冷えた水を配りつつ、術師として戦闘をする。


「さあ、気をつけな!この辺は魔物の数も質も段違いだよ!けど、残された未踏破領域の先には、必ず秘宝があるはずさ!行くぞーーー!!!」


「「「「おーっ!!!」」」」


戦力にものを言わせて、砂漠の奥へ奥へと進む。


「要するに、金の問題さね。船を動かす人員を養うだけの食い物や水、奥地まで行ける戦力。それがないから、今まで秘宝は見つからなかった」


「ん、だけど今は違う」


結局、砂漠の秘宝が見つからなかったのは、この世界の技術と力の問題だった。


この砂漠には、魔物が多過ぎて入り込めないところや、遠過ぎて到達できない領域がいくつもあった。


魔道具があるとは言え、陸から離れた砂走船が行動できるのは、積載できる資材の量から精々一ヶ月未満。


それでは、見つかるものも見つからないと言うものだ。


魔物の妨害もきつい。


しかし逆に言えば、こうして飲食の面倒と戦力の補助をしてやれば、理論上はどこまでも行けるということになる。


「で、出たぞー!鋸歯砂魚の群れだーーー!!!」


「鋸歯砂魚だ!船を齧られたら終わりだよ!」


「バリスタ用意ーーーっ!!!」


「旦那!メンシア!魔法の用意を頼むよ!」


「おう」「ん」


鋸歯砂魚。


人くらいデカい大型の、トカゲと魚が合体したかのような化け物。


よく見れば、チェーンソーのように牙がグリグリと動いており、アレに噛まれたら人体はもちろんこの砂走船も無事では済まないだろう。


「発射ーーーっ!!!」


しゅば、と。


大型のバリスタから、散弾の矢が飛び散る。


魔法的なトリモチで一つに固められた十数本の矢が、発射の数秒後に消失。


結果、ショットガンのように矢がばらけて広範囲を攻撃できるらしい。


『ンギョ?!!』『ギョエ!』『ギギギィ!!』


片舷三台のバリスタから放たれた対魔物用散弾矢は、鋸歯砂魚の群れのうち五体を貫いた。


しかし群れの数は多く、まだ二十体は残っている……。


「ん……、散りゆく花、花弁の赤、燃ゆる硫黄、黄色の雄蕊。『連鎖爆轟(チェイン・ファイアブラスト)』!」


そこに、メンシアの魔法が炸裂。


魔法によって作り出された複数の爆発は、ちょっとした航空爆撃並みの威力だ。


それによって、左舷から来る十体を焼き殺した。


同時並行で、俺は右舷で……。


「召喚、雷の精霊『サンダーバード』」


『クエエエエエエッ!!!!』


黄色い巨鳥、サンダーバードを召喚してもう十体を薙ぎ払う……。


「流石だね、二人とも!さあ、野郎共!帆を張りな、先に進むよ!」


「「「「おーっ!!!」」」」

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