第19話 レベル上げにそんなに時間かける必要ある?

さて、地盤固めはしっかりできたことだし、そろそろ本格的に動くとするか。


現在、俺のレベルは64で、スキルレベルは7にまで到達していた。


既に、人の身を遥かに超えた存在ではあるが、まだ無敵ではない。


なので、とっととレベルを限界突破させて、超越者になろうと思う。




そう考えるようになったのも、スキルレベルが7になったことにより召喚可能になった、強力な召喚獣によるところが大きい。


例えばこれ。


「出よ、時空の精霊『ア・バオ・ア・クゥ』!」


闇の塊に人の目玉が無数に浮かんでいる、この気持ち悪いビジュアルの精霊。


これは……、空間転移を可能とするのだ。


「空間超越、よろしく頼むよ。ちょっとこの星の裏側まで、運賃は魔力払いで」


『々<1=3☆vmg#〒8$hmdtx/__g4!!!』


ははっ、何言ってるか分かんねえや。


でも、言うこと聞いてくれるからヨシ!


はい、転移。


この世界はハンターとハンターを掛ける漫画のようなテンションで、星の殆どの領域が未開の地なんだよね。


そしてその未開の地は、信じられないほどの力を持ったモンスターがいて、異常な気象、狂った地形をしているんだとか。


そこを開拓して、民を殖やして、国を作るのがこの世界の人類の正しい在り方っぽいな。


嘘か誠か、この国『リーフェンハイム王国』も、『超越者』である初代国王の、その溢れんばかりの圧倒的な『力』で建国されたんだとか?


伝説によると、腕を一振りするだけでモンスターだらけの森を叩き潰して、真っ平らな平地したらしい。この辺りにかつていたボス級のモンスターであるドラゴンの首を、素手でもぎ取ったとも聞く。


多分マジなんだろうな。だって俺も、今のレベルで人の首はもちろん、ライオンのモンスターの首を腕力だけでへし折れるもん。実際この前やれたし。


とにかく俺は、そんな感じで、転移をして星の裏側の未開拓地へと飛び。


『『『『オオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!!!!』』』』


なんかよく分かんない馬鹿でかい変な強そうなモンスターを倒しまくり、レベルを上げるのだ。




さてさて……、ここにありますは『鑑定眼鏡』というマジックアイテム。


モノクルの形をしていて、これを通して相手を見ると、相手のレベルとスキルが分かるんですって。


これで覗くと……、ハイっ!


《終焉巨人》

《レベル:157》

《スキル:終焉(エンド)》


こうして、目の前のなんかキモい感じの50mくらいの巨人の能力が見えちゃう訳なんですね。


さあて、どうやって殺すか……。


『ア・バオ・ア・クゥ』は常に後方に待機させておき、俺のことをその触手で掴んでおいてもらっている。


ヤバそうなら自分の判断で俺のこと引っ張って逃げてね、と指示してあるので、俺はここから一方的にちょっかいをかければ良い訳だ。


「んーーー……、そうだな。まずはこれだ。狂乱の精霊『レプラコーン』よ!巨人を狂わせろ!」


『ガオッ!』


まず、一匹の巨人を狂わせて……ってうおお!


『オオオオアアアアアアアアアア!!!!!!!!』


混乱はした!したが……、暴れ始めた!


口から黒いビームをバリバリ出して、周辺の巨人にぶっ放し始めた!


「怖……。『ア・バオ・ア・クゥ』、しばらく俺を異次元空間に仕舞っておいてくれ。で、あいつらが弱ってきたら呼んでくれな」


そうそう、経験値だけど。


死ぬ奴の近くにいれば、自動的に身体に魂のかけらが入ってきてくれるので、俺がわざわざ殺す必要はないんだよね。


ただ、レベル64ともなってくると、もう滅多なことじゃレベルが上がんないのよ、人の領域のモンスター程度では。


だからこうして、星の裏側まで来てクソ強モンスターを殺しにきてるんですね。


いやあ、やっと知能低い奴を見つけられて良かった良かった。


ドラゴンとかは俺より頭いいから、騙したり状態異常でネチネチ攻撃して弱らせたりできないもんな。即逃げしたぞ。


この巨人は、アホですっとろいから、こうやって混乱をばら撒いて仲間内で殺し合わせて……。


『オ、オ、アア、ア……』


「おっ、死んだ死んだ。……くぅ〜っ!魂のかけらが身に染みるぅ!」


こうして、お手軽にレベルを上げられるって訳だ。


いやもう本当にね……。


嫁の妊娠から出産までの王都での待ち時間は、こういう都合がいいモンスターを探すのに全部割り振ってたからね……!


おかげで今はいい気分だよ。




そんなクソみたいなやり方で、俺のレベルは100を見事にぶっちぎった。


こうして俺も、『超越者』の仲間入りって訳だ。


伝説になっちゃったぜ!


ただまあ、まだスキルレベルの方は9で止まってるんで、ガッツリ上げていきたい所存。


しかし、スキルレベル9の力は……、ちょっとこれヤバいなかなり。


例えば『剣術(ソードスキル)』でスキルレベル9だと、時間や空間を斬り裂ける。そう言えばヤバさが何となく伝わるだろうか?


ただでさえヤバい汎用性と応用力、そして純粋な出力を持つ『召喚(サモン)』のスキルが、スキルレベル9だ。


「……召喚、『デイビークロケット』」


アァッ……、出ちゃった……!


「『ア・バオ・ア・クゥ』、これを時空の彼方に追放してくれ……」


『gn49@#g.?t54♪=+!!!』


はぁー……、ついに核兵器すら出せるようになっちゃったかー……。


……まあいいや、便利だし!

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