合意
残念ながら市長たちはすぐに仲間割れを解消し、家の裏へ逃げたにゅうめんマンたちに迫った。その結果、にゅうめんマンとそれをサポートする市民たち10数名は、建物の壁を背にして、市長たちに完全に包囲されてしまった。
市長を支持する市民ボランティアと監視者たちは何十人もいて、にゅうめんマン側よりはるかに数が多かった。市長が勝つ方に賭けた市民が多かったし、監視者たちはそもそも市長の部下だから、市長をサポートするのは自然な成り行きだった。
「ふはははは。貴様はよく戦ったが、どうやらもうおしまいだな」
市長は大口を開けて笑い、脱臼しなかった方の腕をにゅうめんマンのいる方へ伸ばした。
「今度は外さんぞ。くらえ!」
市長は、自分の家を傷つけないように加減して市長フラッシュを放った。
「ぐああぁ!」
実際、近距離で撃たれたせいもあり、その光線はにゅうめんマンを直撃した。手加減されてはいたものの市長フラッシュの威力はやはり強く、にゅうめんマンは味方の市民に支えられて、ようやくその場に立っていた。
《このままではすぐに負けてしまう。何とかしなければ》
にゅうえんマンはあせった。市長も、にゅうめんマンにボコボコに殴られた挙句に肩を脱臼し、すでにボロボロのはずだが、他人のエネルギーを使って市長フラッシュを撃てるし、サポーターの数もずっと多いので、明らかにあちらが優勢だ。
にゅうめんマンは市長に味方する者たちに訴えた。
「お前たち、なぜそんなひどい市長の味方をするんだ。エネルギーを吸い取られてしわしわになってしまってもかまわないのか」
「その問題ならもう解決したよ」
市長側の市民が答えた。
「どうやって解決したんだ」
「市長フラッシュを撃つときは、
「何だそのお役所みたいな言葉づかいは」
「お役所のボスが合意した内容だ。文句あるか」
「それもそうだな」
一瞬丸め込まれそうになったが、にゅうめんマンは続けて説得した。
「でも、重篤じゃない健康被害が出るかもしれないだろ」
「俺たちは市長が勝つことに大金を賭けてるんだ。軽い被害くらいは我慢するさ」
「何だお前らは、金の話ばっかりして!散々市長にいじめられているくせに、その市長に大金を賭けて
「この世に金より大切なものはない!!」
「なんでそんな自信満々なんだよ」
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