公務員たち

職員の男は、突然そばにあった椅子をつかんで頭上に持ち上げ、にゅうめん目がけて、カウンター越しに勢いよく振り下ろした。攻撃を予期していたにゅうめんマンは、さっと飛びのいて交わした。


「いきなりいすで殴りかかって来るとは。さすがに攻撃的だな」


にゅうめんはカウンターを跳び越えて、職員の頭にとび蹴りを入れた。それでその職員は戦闘不能におちいったが、次の瞬間には、10数人くらいいた他の男の職員が、続々と、にゅうめんマンに襲いかかった。


「てやっ!とぉ!」


にゅうめんマンは、牙をむいて襲い来る市役所職員たちに、一撃ずつ的確にパンチを打ち込み、すばやく仕留めていった。この程度の暴漢なら多少集まったところで何でもない。


それで、そのフロアの職員たちはほとんど退治したが、にゅうめんマンが男たちと戦っている間に、女子職員たちが、同じ建物に入っている他の部署に一斉に内線をかけ、応援を要請していた。


その結果、すぐに上の階から、数十人の職員たちが、にゅうめんマンを亡き者とするため、大挙して階段を下りて来た。


「おもしろい!こんな大勢をいっぺんに相手にするのは久しぶりだ」


そこで折よく、にゅうめんマンは壁際に消火器が置いてあるのを見つけた。


「邪悪な職員どもめ!これでもくらえ!」


にゅうめんマンは、消火器を手に取り、敵をひるませ目つぶしをするため、職員の集団に向かってめちゃめちゃに消火剤を浴びせた。


だが、消火剤の白粉まみれになりながらも、殺意が高ぶっている職員たちは、ひるまず攻め寄せた。にゅうめんマンは、来庁者の老人が持っていた杖を武器として拝借し、背中をとられないよう壁を背にして、血に飢えた公務員たちを迎え撃った。


暴力的な職員の中でも特に血の気の多い男が先陣を切って、にゅうめんマンに飛びかかった。


「覆面の変人め!市役所のこやしとなれっ!」


にゅうめんマンは、その男のみぞおちを杖で突いてうち落とした。


それから別の2人が襲いかかった。にゅうめんマンは1人の頭を杖で殴って打ち倒し、返す刀でもう1人の頭も打ち据えた。


その後も無数の職員たちが、野猿やえんの群れのごとく、矢継ぎ早ににゅうめんマンを襲った。だが、にゅうめんマンは、木魚をどつく坊主のように、職員たちを杖でびしばし殴りつけ、次々に悪党を打ち倒した。


あれほどたくさんいた市役所職員たちだが、逃げ出す者もいたりして、全滅するまでに長くはかからなかった。

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