第31話

翌日、再び森に入る。


「今日も採集なの?」

「今日は時間もあるし、採集はそこそこにして森の奥に進みましょうか。白影の正体も知りたいですし、昨日の白蛇も森の奥に逃げていきましたからね。彼は価値があります。超獣は希少かつ強力であることが多いですからね。上級貴族の中では超獣を飼うことが一種のステータスであるらしいですからね。売るとなれば貴族とのコネが作れますし、見世物として路銀を稼がせるのもいいでしょうね。」

「ヴィオレ知ってるの。捕らぬ狸の皮算用なの。」

「これは手厳しいですね。でも確かにそうですね、少し気を引き締めるとしましょうか。」


暫く森を歩き続けるとグレーの狼が襲い掛かってきたが


「ふんっなの」

「ぎゃうん」


姿を現した時にはそのお鼻面にヴィオレ嬢の拳が突き刺さりあっさりと気絶。その隙にナイフできれいに処理された。


「毛皮と牙はとっとくの。他は捨てとくの」


ヴィオレ嬢が一撃で倒したおかげで毛皮はとてもきれいですね。いい値段で売れるでしょう。


日が暮れてきてもう帰ろうとしていたその時、私の視界を白い線が横切った


「今何か動きましたか?」

「何か居たの。視界の端に白いのが見えた気がするの」

「まさか白影ですか!?」

「わかんないの。あ、さっきのグレーウルフ死体がなくなってるの!」


今の一瞬で数十キロの肉の塊を持って行ったんですか?!それにヴィオレ嬢の眼をもってしても追えないとは。速いだけではなく隠密に優れているようですね。


「どこから襲ってくるかわかんないの。精一杯警戒するの」


そうして警戒し続け一刻が過ぎた。


「もう疲れたの」

「流石にもういなくなったでしょうか」

「いつまでもこうしてられないの。いい加減帰るの」

「しかし…」

「しかしもおかしももないの!ずっとこうしててもしょうがないの。ヴィオレが後ろ向きながら背中合わせで帰るの。」

「それしかありませんか。帰るまでがお仕事ですからね。」


日はとっくに暮れていた





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