第28話
「すまなかったね。ヴィオレちゃんが心配で助けになるだろうと思っていたんだが……」
「お気持ちはありがたいですが、今回は遠慮しておこうと思います」
「ああ、すまなかったね。忘れておくれ」
「では、行きましょうか」
「分かったの。おばあちゃん、バイバイなの」
うっすらと視線を感じつつ、私たちはギルドを後にした
森は緑に満ちており、人々が踏み鳴らした獣道があった
「まだ浅いのでさほど荒れていませんね。ちらほらと果物が見えますし、それらは帰りに持っていくとしましょう」
「この辺には獣がいた形跡はないの。もっと深いところに入らなきゃだめそーなの」
ヴィオレ嬢は実っていた果実を手に取り、齧っている
「そうですね。もっと奥まで行きましょうか。」
がさりと草が揺れる。間髪入れずにヴィオレ嬢が持っていた果実を投げつける
キュッと短い鳴き声が聞こえ、近ずけば茶色のうさぎが倒れている
「食い扶持げっとなの」
あいかわらずワイルドだ。すぐに首を落とし、血抜きを始める。おさまったらバッグに入れて後で解体だ
「この辺には居ないと思ったのに、なんでいたの?」
不思議そうに死んだうさぎに問いかける
「食料は十分にありそうですしねぇ。狼かなにかに追い立てられたのですかねえ」
「じゃあ狼も近くにいるかもなの!ちゃんすなの」
「そうですね。少し警戒しましょうか」
ヴィオレ嬢がいても私が不意打ちされて即死では目も当てられませんからね。自衛は大事です
『出ていけ!』
どこかから声が響く
「誰なの!」
『出ていけ!!』
「この声、どこからでしょうか」
『森を荒らすな!出ていけ!!』
はてさて、何が起きているのでしょうか
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