第26話

「朝なの。早く起きるの」


ヴィオレ嬢は私を揺さぶりつつ、声をかけ、起こそうとする


目を開くと太陽の日差しが窓から差し込んでいる


「おはようございます、ヴィオレ嬢」


今は午前7時、気持ちとしてはもう少し寝ていたいところではありますが、起こされてしまっては仕方ありません


「朝ごはんを食べに行くの」


そういえば朝食付きでフルーツが美味しいとか関所の方が言ってましたか


「そうですね、着替えたらすぐに行くので先に行っておいてください」


「分かったの」


短い返事でそそくさと1階に降りていった


服を着替え、私も1階に降りるとテーブルでは既にヴィオレ嬢が食事を始めており、側には女将さんの姿が見えた


「おはようございます」


声をかけるとこちらに気づいたようで


「あら、おはようカタルさん。ヴィオレちゃん、しっかりしてるわねえ」


「そうなんですよ、今朝も私より早く起きてたみたいで」


なお、度の道中私の方が早く起きていたことは無いのだが


「育て方がいいのか知らねえ。うちの子はのんびり屋さんで…。あ、カタルさんの分も持ってくるわね」


そう言って女将さんは裏に行ってしまった


「今日は何するの?」


「そうですね、朝食を食べ次第冒険者ギルドへ向かい依頼を見つつ、森に入ってみようと思います」


「分かったの。異論ないの」


そう言いながらリンゴをシャクシャクと食べている


「このリンゴすごく甘いの。美味しいの」


「あら、それは良かったわ。ヴィオレちゃんにはサービスしちゃうわ」


ちょうど女将さんが私の朝食を運んできて、さらにヴィオレ嬢にリンゴを差し出した


「ありがとうございます。では、いただきます」


「はい、いっぱい食べるんだよ」


ヴィオレ嬢はもらったリンゴに加え、私のフルーツも完食した


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る