第22話
ギルドを出て、東にある服飾店に着いた。
店の中へ入り、店員らしき女性に声をかける
「こんにちは、ご婦人。冒険者ギルドの依頼でお手紙をお届けに参りました。」
すると、女性は嬉しそうな顔になり
「あら、王都にいる息子からだわ!ありがとう」
「息子さんが王都に!何をしていらっしゃるのですか?」
「剣の腕を見込まれて近衛騎士をやっているの!幼い頃から剣の才能があって、すぐに剣の印が出たわ!それからも鍛練を続けてソー領主様に推薦してもらったの!」
そう元気に息子のことを話す。さぞ息子が誇らしいのだろう、話したくて堪らないといった様子だ。ヴィオレ嬢はこちらに興味を示さず子供用の服を眺めている
「それは素晴らしいですね。お母様とお父様の教育の賜物でしょう。やはり鍛練はそこの森でなさっていたのですか?」
「ええ、この龍脈の森で様々な鍛練をしていました。魔物を狩ったこともあるんですよ!」
魔物、魔王の瘴気により凶悪化した生物の総称。本来の身体能力を大幅に上回る力を得て、破壊衝動に支配されるので、そこらの害獣よりも余程危険な生物だ
「ご子息は剣に秀でているうえ、勇敢でいらっしゃるのですね。さぞ鼻が高いでしょう」
私がそういうと彼女は少し落ち着いて
「そうねえ。けど、親としては健康に生きててくれれば何よりだわ」
そう彼女は、憂いを帯びた顔をした
「そろそろ次の所へ行くの」
ふと視線を下げると店内を見て回るのを辞めたヴィオレ嬢が私たちの側に立っていた
「そうですね、少々話しすぎたようです。では我々は次の配達がありますので、失礼します。」
そういうと女性は
「そうなのね、頑張っていらっしゃい。話に付き合ってくれてありがとうねえ」
そう言って裏に入っていった
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