2章 進展

第17話

ヴィオレ嬢という旅の供を得て、快適の一言だ。彼女の身体能力は私以上で遅れると言ったことはなかったし、食事も彼女がイノシシなんかを狩ってくれたので1人であった時より豪華なくらいだ。私では兎を捕まえられるかどうかといったところだ。


10日ほど歩き続けて大きな森に囲まれたソー領に着いた。ここは我らがソード王国の辺境地であり、広大な森から得られる資源によって潤っており、国境近くではあるが森に囲まれている故に攻められないといった平和な土地だ。領土は他の領と比べると同程度であるが、その大半が森が占めているため街の規模としてはそれほど大きくない


門はなく、獣害対策として柵が立てられていてその切れ目、街の正面に検閲所があるのみのようだ


「こんにちは、兵士さん」


私はフレンドリーな笑顔を浮かべて兵士に話しかける


「珍しいな、旅の者か?」


森しかなく、交通の便も良くないこの地に商人以外が来るのは珍しいのだろう


「ええ、そうなんです。隣国のナイフ公国に行こうと思いまして。その途中なのです」


ナイフ公国とはソード王家の分家であり、広くなりすぎた土地を独立させたことでできた国だ。禍根はなく、良好な関係だと聞く。


「なるほど、お二人のご関係は?」


まあ、成人男性と幼女の2人組。怪しんで当然でしょう


「親子です。家族になってまだ日は浅いんですけどね。」


そう言いつつ私たちの戸籍を確認してもらう


「はい、確認致しました。どうぞ、うちでは旅の疲れを癒してください。果実なんかはとても美味しいですから」


「ああ、兵士さん、ありがとうございます。ところでこの街でおすすめの宿屋はありますでしょうか?」


兵士はさほど悩むようでもなく言った


「森の恵み亭というところが良いでしょう。衛生環境は整っていますし、朝食付きでお値段も控えめです。毎朝新鮮なフルーツを提供してくれますよ」


「それは良いですね、是非そこにしようと思います。ありがとうございました」


そう言って私たちは街の中へ入っていった

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