第12話

「《怪演》」


《怪演》、怪談の印の権能の最たるもの。私の怪談を、具現化する。


彼らは私を見る時に否が応でも見てしまうだろう、メガネに反射した、自らの背後に佇む怪物を、怪物たちを。


「うわあああ!」


一人の男が背後を見て叫ぶ


「ぎゃあああ!」


一人の男が背後から異形に襲われ断末魔をあげる


一気に恐怖が伝播する。恐れ戦き逃げ惑う。


しかし


「てめえら、落ち着け!」


ガイアが一体の異形を斧で叩き斬り、部下へ叫ぶ


「こいつらは気色悪ぃが大した事ねえ!恐れるな!殺せば死ぬ!」


「うおお!!!ガイアの兄貴に続け!」


みるみるうちに怪物、異形の数が減っていく。最初の動揺をつかれて半数程度組員が死んだが、それ以降は大して死なず、半分の組員が怪我をしつつも生き残っていた。


直接的な暴力性のある怪談ではなかったので正直弱いのは想像できたが、立ち直りが早かったですね


「クソ怪談師!生きて帰れると思うなよ!四肢をねじ曲げて爪を剥がして畜生共の餌にしてやる!!」


ガイアが叫び、組員が皆血走った眼を向けてくる


「後を任せてもよろしいでしょうか、ヴィオレ嬢?」


「どうしてヴィオレの味方してくれたのかしないけど、助かったの。あれだけなら私だけでなんとでもなるの。下がってるといいの」


「ええ、ありがとうございます」


さて、ヴィオレ嬢のお力の程を見せてもらうとしましょうかね

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