第10話

無事ピンクドック組から解放されてから数日たち、今日も本屋や骨董品屋などを周り、ネタを集める平和な日々だった。


日も暮れて、瓶底の宿に帰るとガラの悪い客の姿はなく、女将さんが話しかけてきた。


「ちょっとカタル、聞いたかい!この前言ってたぴんくどっぐ組の抗争!アイツらのボスに組員全員が襲いかかったらしいよ!今は武力派の奴らは何人も死んで組長はどこかに逃げたらしい!見つけて副組長に引き渡せば賞金が貰えるって話さ!」


ふむ、ヴィオレ嬢はまだ生きているのですね。それは重畳です。


「それはそれは、稼ぎ時ではないですか。道理でいつもの方々が見当たらないなと思いましたよ」


「そうさね、あのごろつき共は逃げた組長を血眼になって探してるよ。スラム街には組長の人相書きが貼られているようだね、まさか幼い少女だったとはねえ」


「ええ、先日会った時は驚きましたよ。どんな豪傑が出てくるかと思ったら、可愛らしい方がでてきたものですからね。いやしかし、私も行きましょうかね」


「あんたみたいのが行ったって怪我するだけだよ。やめときな」


「ご心配ありがとうございます。まあ、何とかなりますよ。それでは」


辺りはもう真っ暗になり、スラム街からは騒がしい気配がしている

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