第5話

「いやはや、しかし、ヴィオレ様は見た目にそぐわず豪気な方なのですね。まさか顔を合わせたばかりの人間に印の使用を認めるなどと」

「はっ、そりゃそうだ。うちの組の武闘派揃って挑んでも負けたんだからよ。そうじゃなきゃあんなガキに頭なんてやらせるかよ」


吐き捨てるようにガイアはそう言った

それほどの武力、組内での不和、ガイアの言動。やりようはありそうですね…


「まあいい、今夜はさっきの牢屋で過ごしてもらうぞ。ボスが出向くようなコトはそうそうねえからな、明日にでも聞かせてやってくれ」


最初に目が覚めた牢屋に戻された。藁が敷かれている以外何も無く、冷たく硬い床。地下故に月明かりも刺さない暗闇。もはやできることは何も無く、眠りにつくだけであった




目が覚めたが辺りは薄暗い。正面の階段から少し光が漏れている。ドスドスと不機嫌そうな足音が階を下る。その音の主は昨日ガイアと共に居た下っ端だ。


「おらよ、てめえの飯だ。あと数刻もすればガイアの兄貴が呼びに来るだろうよ。それまでふざけた真似するんじゃねえぞ!」

「少しお待ちを。一つだけ聞きたいことがあるのですが。」

「ああ?なんで答えなきゃならねえんだよ」

「今ぴんくどっぐ組でヴィオレ嬢を信奉している人物はどれだけいるのでしょうか」

「1人もいるわけねぇだろうが!兄貴を差し置いてぽっと出のあいつが頭なんて認めるやつはいねえ!兄貴がいるから俺たちはまだここにいるんだから」

「ふむ、ありがとうございます。それはそれは」


そう言いながら私は笑みを浮かべ、思考をめぐらせる。今回の件で用心棒が欲しかったところなんですよねぇ。








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