散る

kenshi

本編

「あーもう、そっとしといてって言ってるでしょ!」


こう言ってドアを強く閉めたけど、彼の


「ちょっ…」


って声だけ聞こえた。


***


 わかってる。あれは全部彼の優しさなんだよ。不器用だけどさ。

 でも、認められない私がいるんだよな。


 彼が悪いってずっと自分に言い聞かせてた。バカみたいだよね?


 だけど、そうでもしてないと、気が済まないんだよ。


 スマホを持つ手が震える。言わなきゃ、ごめんねって。


 震える手でなんとか字を紡いだ。



 「この前は、ごめんね」



 そして


 「こんな私とこれまで一緒にいてくれてありがとう。バイバイ。」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


 既読がついたのを見て、私は新しい世界へと散っていった。

                      〈Fin〉

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散る kenshi @1111_kenshi

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