第24話 夏休みこそ勉強回!(それより水着回が欲しい)

 さてさて今日は終業式。つまり明日あすから夏休み。だが休んでるいとまはない。夏を制する者こそ受験を制するのだ。

 そう気合を入れ直し、一学期最後の教室に足を踏み入れると、なんと、俺の席の周りに人が集まっていた。ついに、ついに俺が主人公に……! 


「みんな、おはよ」


 キラーンという効果音を響かせながら、俺は爽やかな挨拶を披露した。


「それでね、もなぴと涼音ちゃんがお話するから、沙羅ちゃんは旗の真ん中で、男の子2人が端を持つ感じでおねが~い」

「わかったわ」

「了解」

「私、上手く喋れるかな……」

「涼音ちゃんなら大丈夫!」


 話し合いに集中していて、誰も俺に気がついてくれない。しかもよく見たら輪の中心は俺の席じゃない。その後ろの村雨の席だ。しょぼーん。


「あ、学くん来てたんだ。おはよ〜」

「……おはようございます」


 急激にやる気がなくなってしまった。どうせ脇役ですよ~だ。


「委員長どうした? 元気ねえな」

「なんでもねえよ。……みなさんは何を話してるんですかね?」

「ああ、そうそう。終業式の後、クラス旗紹介の時間あるじゃん? その段取りを決めてんの」

「あーあ。なるほど」


 そういえば今日か。けどその時間、全員夏休みのことで頭がいっぱいなような……大丈夫か?


「それで、俺は何したらいいの?」

「俺と委員長は旗の端を持つ仕事な」

 

 くそ、文字通り端役だ。まあ、旗の制作に関しては俺は何もしてないし、目立つのも変だからいいけど。


 そして終業式の後。無事、旗を紹介することができた。もっとも、松江は台詞を飛ばしたのだけれども。


※※※


「みんなおつかれ~。かんぱ~い」

「「「かんぱーい」」」


 えー、サイデリアからお送りしております。松江の提案で、放課後に旗の作成メンバーが集まることになったのだ。机上にはピザがたくさん。Let’s ピザパ!


「明日から夏休みだね!」

「おお」

「そうね」

「だね! もなぴちゃん!!」


 みんなピザを食うのに夢中なので反応は薄い。大人数だといろんな種類を少しずつ食べられていいんだよな。これもまた、サイデの醍醐味である。


「だからね、もなぴは夏休みの予定を立てるべきだと思うんだよ!」

「うんうん! 立てるべきだよね!!」


 ……なんかさっきから涼音だけすごい乗り気じゃない? 何があったんだ。

 まあ、計画を立てるべきという意見には俺も同意だ。


「たしかに、しっかりと勉強の計画を立てることは大切だよな。こういう時に勉強しておいた結果が、後に大きな差になって現れてくるわけだからな」


 特に松江は頑張らないと。さすがに二学期も全教科赤点だと留年の影が……


「何言ってるの、学くん? 高校生こそ、たくさん遊ぶべきなんだよ!!!」


 違ったー。そんな影は見えてなかったー。まあそうですよね。松江さんですもの。


「最近みんな、勉強ばっかりでつまんな~い。もっと青春しよ? 恋しよ? コイバナしよ?」

「いや、松江は勉強しないとまずいだろ。うちの学校、留年もあるぞ?」

「ギクッ」

「まあまあ委員長。時には遊びも大事だろ。萌菜は何がしたいの?」

「ふっふっふ。さすがは優斗くん。どこかの学くんとは違うね」

「うるせ」

「もなぴはね、お泊りがしたいのです!!!!!」


 松江がどやーという顔で言った。え、お泊り?


「松江さん、お泊りって?」

「お泊りはお泊りだよ。もちろん、来年は修学旅行はあるけどね、もなぴは思うの。仲良しのみんなとお泊りがしたい!ってね。というわけで、涼音ちゃん!!!」

「OK、もなぴちゃん!!!」


 いや、今日の涼音どうしたの? 松江と息ピッタリで、やけにテンションが高い。


「というわけで、まずはこちらをご覧ください!」


 涼音が取り出したのはA4の紙。



『Mona & Rena & Suzune プレゼンツ ♡ お泊りin 麗奈ちゃんの別荘』


 

 というタイトル。うん、松江が書いたな。……って、麗奈の別荘行くの⁉


「涼音ちゃん経由で麗奈ちゃんに相談したんだ。お泊りがしたいって。そしたらこんな計画書を書いてくれたの。あ、タイトルはもなぴが考えました~」

「うん、それは知ってた」


 本文とタイトルの雰囲気が全然合ってないもんな。文字がびっしり書かれてる。お、内装も描いてあるぞ。別荘も広いなあ。プールまで付いてる。


「別荘までは麗奈ちゃんが大きい車を用意してくれるって」

「おお、準備がいいな」

「……参加人数8人っていうのは、ここの5人と澄川さんと、後は誰?」

「ふっふっふ、それは当日のお楽しみ。サプラーイズだよ、沙羅ちゃん」


 いや、参加者不明のお泊り会とか怖すぎるだろ。その言い方は俺らの知ってる人なんだろうけど……いや待て。俺に友だちなんかいないぞ。友だちの友だち理論は認めないぞ。


「水着買いに行こうね、涼音ちゃん!」

「そうだね、もなぴちゃん!」

 

 松江と涼音はものすごく乗り気だ。知らん間にめちゃくちゃ仲良くなっている。それでゲストって誰なんですかー。


「沙羅ちゃんは水着ある?」

「そういえば久しく着てないわね。この機会に新しく買おうかしら」

「やったー。じゃあこのまま行っちゃおー」


 女性陣が盛り上がっている。

 これは、水着回の予感……!


―――――――――――――

女の子が水着を買いに行くだけの回も書きたいです


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