11月

雨の底

湿った話声

湿った動作

人々が持ち込んだ雫で

車内は湿度に満ちていた


バスは土砂降りの中を走る


白く滲むイルミネーション

ぼやけたカフェの金色の光

浮くように傘が行き交う舗道


窓を横切る雨粒は

次から次へと後方へ

過去へと飛び去ってゆく

可視化された時間のように


バスは大雨の底を走る


前方を未来のように

明るく照らしながら


https://kakuyomu.jp/users/rubylince/news/16818093087996557325

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る