第7話
もうすぐ10月。私に意識がついて1ヶ月経つ頃。私は9月の終わりか、走馬灯メンバー全員と会うか。どっちかでこの世界が終わるだろうと考えていた。
この走馬灯メンバーというのが、あーちゃん、いっちゃん、うっちゃん、おーちゃんだ。この上ない仮名だ。
この4人は小学校から仲がいい友達たちの集まりだ。
私は元々交友関係においては「狭く深く」が信条なため、人数は多くは無いが、この他にも勿論色々な友達がいた。だが1番古い仲となるとこの辺りかなと、全員と会うのを一区切りとして、勝手にこの友人達と会えば目が覚めると思いこみ「走馬灯メンバー」と心の中でよんでいた。
その中でもうっちゃんだけ暫く来なかった。
とはいえ元々多忙だったことに加え、途中からしか記憶がなく、多分その意識がない頃に何度か足を運んでくれたのかもしれないが。
だから私は走馬灯メンバーの一人である彼女を先ず待つことにした。
それに比べ、おーちゃんは良く訪れた。
それはほぼ皆勤で。
おーちゃんは私が事故をする前に仕事を辞めると言っていたこともあり、これまた多忙な方だったためこんなに来れるはずがないと思い、てっきり仕事を辞めたのだと思っていた。走馬灯だと思っていたので、現実が始まったら仕事を辞めれるのだと思い心の中で何度も祝福した。まあお察しの通り辞めてないのだけど。
なんならいっちゃんの方が辞めてた。
「明日面会あるからね」
職員さんが一言そう言った。
何日かまで正確には覚えてないが9月が終わる頃だった。
(来た。)
そう思った。誰かは分からないが絶対うっちゃんもいる。と思った。
もう1ヶ月も経つのだ。流石に走馬灯とはいえど長すぎる。
そして次の日になり走馬灯説を裏付けるかのようにやはりうっちゃんは来た。
ちなみにおーちゃんも来た。
うっちゃんは意識がついてから会うのは初めてだったが、事故った記憶自体持ち合わせていない私からすればそんなに久しぶり感はなかった。髪を切ったらしいのだが全然気づかないくらい。
他愛もない話を続けているとうっちゃんから
「私にもこれ作って」
と強請られたのはキーホルダー。
お母さんやおーちゃんにも作ったキーホルダー。
これは職員さんに作ろうと言われて作った、友達や両親に向けたアイテムだ。
とはいえやはり手が震える以上時間がかかるので、お母さんとおーちゃんにしか作れなかったのだが。そしてプレゼントした相手的にも出来なかった友達的にもどうかと思うのだが、めんどくさかった。
それはもう面倒くさかった。
私はそもそも細かい作業が嫌いだ。
そして同じことを何度も繰り返していく事が嫌いだ。何においても下描きをしないのは、本書きの前に「下描き」というフェーズが挟まることへの嫌悪感があるからだ。
だから正直言うとおーちゃんへのキーホルダーを作成する時点でお母さんへのキーホルダーは作り終えていたため案の定嫌になっていた。
そして走馬灯と思っていたため、現実に行けばもう一度作らなければいけないのだと思い、更に面倒さを感じていた。
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