第2話 ねこと話そう

なんかもやっとする…

いや、単に皮肉れているだけなのかもしれないけど…


一人暮らしになってから毎年、私の誕生日に両親は私の好きな地元の特産品を送ってくれる。

なんとなく誕生日プレゼントという華やかさのないプレゼントだけど、これがもやっとする原因ではなく、むしろ懐かしさに和む。

じゃ、なにがもやっとさせるんだろう。


原因は多分これ…



恵美からもらったケーキ



「誕生日にリュウと一緒に食べてね。」の一言のあの罪のない優しさがやっぱりもやっとする。

私の横で美味しそうに猫用ケーキを食べていたリュウは、ゴロゴロとのどを鳴らしながら私の横で毛づくろいする姿は本当幸せそう。

恵美は大好きだけど、「今日も予定は猫とご飯でしょ。」と言い切られたような敗北感が憎しみを引き寄せてくる。 



恵美は大好きだけど…。



リュウももちろん大好きだけど、私の横で幸せそうにマイペースを貫く姿を見ていると、尻尾をひっぱたりしたくなる。


リュウは私の一番なのに…。


私が一時期嵌ったドラマの主人公の名前がリュウ。

当時は何度も録画を見直すぐらい大好きでその時に買い始めたこの子にリュウと名付けたくらい嵌ってた。

そんな嵌ったドラマもすっかり冷めてしまえば残ったのは愛しいこの子の名前のみ。

リュウのために「ペット可」のちょっと無理をした家賃のマンションにも引っ越した。

それくらいリュウを大切にしている私を知っている恵美に今日のケーキのプレゼントはきっと悪気もなく純粋にお祝いをしてくれているはず。 



はず…だよね。



「ねえ、リュウ、ケーキ美味しかった。」

「ごろごろごろごろ」リュウは相変わらず毛づくろい中で、一瞬、こちらを見たか見ないか、いや、見たと思う。

見てくれたと、思いたい。


「リュウ」

「ごろごろごろごろごろ」

「リュウ!」

「ごろごろ…」


リュウはやっと私を見てくれた。


「ケーキ、美味しかった。」

「みゃ」



あ、返事した。

返事したよね。

今、私の質問に答えたよね。

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ねこと話そう  りんご @ringo_rin

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