1-12

「…ジュリアス殿と面識があるのか?」


「ええ。弟が諜報部の副団長でして。結婚前はよく弟と三人で会っていましたのよ」


大体リズ様のことを。シモンは聞き役に徹していましたけれど。


「そうか。ではエリザベス嬢とも仲がいいのか?」


「ええ。…と言っても先日お友達になったばかりでずっと私の片想いでしたけれど」


「……恋愛ではないよな?」


何てことをいうのですか、旦那様は!


「恋愛ではありません!リズ様には王太子殿下がいらっしゃいます!リズ様は私の推しですわ!」


「推し?」


「そうです。リズ様の魅力を教えて差し上げますわ!ここでは何ですので後程寝室にて!」


推しトーク、久しぶりだわ!ゆっくりたっぷり語って差し上げましょう。まだ寝るには早い時間ですし。


「ちょ、ちょっと待て!おいっ…」


「何ですの?聞いて下さいますよね、もちろん?」


そう言って圧をかけます。せっかく久しぶりに推しトークが出来る相手が出来ましたのよ?何が何でも聞いて頂きますわ!


結婚して、ジュリアス様と話す機会もシモンに聞いて貰うこともなくなっていましたから。


「わ、分かった。分かったから落ち着け」


「失礼しましたわ。では私は着替えて参りますので」




ーーーーー

リュードside


結婚式の日の夜、ルークに頼んだ妻、リリアの情報が集まった。


なにか怪しいことでもあるのかと思ったが、ごくの令嬢の情報だった。




18歳、マリデール侯爵家出身。

5歳で学院で学ぶレベルの教養、マナー、一通り学び終える。

14歳、学院入学。入学試験で首席合格し15歳の卒業試験まで全てのテストで首席合格、首席卒業。


国王や王妃と親しく周辺国とも横の繋がりあり。


14歳の入学式の日、エリザベス·マレーに一目惚れ(恋愛ではない)。彼女のファンクラブと一緒に愛でる日々。

彼女の出る社交行事には必ず出席。


社交界の華で男女問わず人気。フラれた人の数は知れない。


18歳でリュード·スミスと政略結婚した。




……普通?これが?普通ではないだろう?すごくないか?ハイスペック過ぎないか?


疑問符しか浮かばない…


さすがに俺も入学試験と卒業試験も合わせて全てのテストで主席合格は出来なかったぞ?


しかも男女問わず人気って、そんな彼女と政略結婚し、さらに対して優しくもせず…いつか刺されそうだな…



俺に対しては淡々としているが、他の人相手だとそうでもないらしい。

俺が雑な扱いをしても何一つ文句を言わず…実は悲しんでいるのではないか?悩んでいるのではないか?


流石に申し訳なくなってきた…少しでも歩み寄る努力をするべきだったな。これからは気を付けるようにしよう。


何故俺と結婚したんだ?いや、申し込んだのはこちらだが正直言って、選び放題だろう。


決意をしたリュードだったが、リリアは別に悲しんでも悩んでもなく、あえて言うならリズに関わる機会が増えて、使用人とも仲良くなり、綺麗なお城に住むことが出来て、リュードに感謝しているくらいだった…


ーーー

ご覧頂きありがとうございます。アルファポリスにてかなり先の話まで公開しておりますので宜しければご覧下さいませ。  山咲莉亜

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