第8話 情報のアイロニック

 遺跡の奥へと行き、何やらモニターのようなものに一つのパネルがある部屋にたどり着いた。ラミナが言うには遺跡の世界地図、だそうだ。しかし、更新はとうの昔に途絶えてしまっているようで地図通りの確証はないそうだ。

 しかし、情報があるだけかなり有難い話である。

「んで、恐らくあのパネルがコンソールだと思うが…操作の仕方が分からんな」

「普通にラミナ君にしてもらうのが良いんじゃないかい?」

「バッカ、俺がこの操作ができる事によって俺こんな技術持ってるんすよって下手に出やすくなるんだよ」

「想像以上に酷い理由ですねお兄様」

 何とでも言え、俺の意思は揺るがないぞ。

 ツケは払うと言ったが、常に払うとは言ってない。

 つまり借金取りがいたとしても人は適当な繋ぎ話で期限を伸ばすことが多い。

 そう言うことだ。

「どう言うことか分かりませんよお兄様」

「これで何度目か分からんが心読むのやめてもろて」

「いやです♪」

「なぜに?」

 こいつの俺に対する愛が凄いな……語彙力無くすわ。

「まぁ良いか、ラミナ頼む」

「了解しました」

 ラミナはその後にコンソールに向かって動き操作を始める。

 そこは権限からやるわけじゃないのね。

 と言うことは、システム自体の権限はあるが、システムからなる操作は自身で行えと言うことのか。

 全てラミナに任せては頭の働きが劣るからか?よく分からんな。楽したいのなら楽すれば良いと思うのが俺の意見である。

「神暦百六十九年時点での遺跡を示す世界地図のデータをモニターに写します」

 それと主にモニターが光だし、世界地図が映し出された。

 島自体の形はあまり変わっていなく、砂漠も雪のゆる場所もあった。多少の形は違えどほとんど同じだ。

 現在の地図と照らし合わせれば大凡の場所は特定できそうだ。

 見つけられてる遺跡も載っているが一応調べる機会があれば行くのが良さそうだ。権限がないといけない場所があってもおかしくないからな。

「ふむ、ユールシアス大陸にある遺跡をまずは調べていこうか」

「あぁ、国から少し遠いがもう一つあるみたいだしな」

 確か、その場所には村があったはず…あまり良い噂を聞くわけではないが、治安は良いそうだ。

 良い噂でもないのに治安がいいのはおかしな話ではあるけどな。

「では、明日からそこに向かうと言うことですか?」

「だな、アクアマリンもそれで大丈夫か?」

「私は大丈夫だ、早く行動して損はないからね」

 二人とも良さそうだ。ならそろそろ遺跡から出るとしようか。

「あんがとなラミナ」

「いえ、それが私の仕事ですから、ですがありがとうございます」

 相変わらず表情は変わらない。

「んじゃ俺らは遺跡から出るか」

「では、外まで案内します」

 またもやラミナに案内してもらい長い階段のところまで戻ってくる。

 登ろうとした時にラミナが声をかけてくる。

「申し遅れたのですが、私はシステムそのものなので遺跡から出ることが出来ません。しかし、他の遺跡を起動してくださればその遺跡で姿を出すことが出来ますので、各地の遺跡を起動していってください」

 つまり、世界中にある遺跡は今、機能を停止していると言うことか。俺が遺跡を起動するトリガーとはな。

 それが他の人にバレたらかなり面倒な事になりそうだ。国の事情に捕まるのはごめんだからな。

 そして外に出る途中で気づいたが、外はもう夜だった。

 階段を登って行く途中で月光が差し込んでいることで分かった。

 それで外に出る俺ら、外は来た時と変わっておらず、何事もなかったことを指している。

 何かあると思っていたが、そうでもなかったようだ。

 認識阻害が起動しているのなら普通の人はここに辿り着けないか。

 このままどうするか…王都の方に行くとしたら夜遅くなるだろうし、村に泊まるとしても空いてるだろうか…。

 しかし、安全を考えるとしたら王都の方が良いのか?しかし、世界で注目を浴びる俺ら三人が王都を堂々と歩くわけにもいかんしな。まぁ一応ローブがあるが、心許ないところもある。

「多分今日どこに泊まるか考えているのでしょうけど、私は王都の方が安全に行き来できると思いますよ」

「私も王都の方が必要なものを撮りに行きやすいからね」

 二人とも王都の方が都合が良いみたいだ。王都なら大きめの宿もあるだろうし大丈夫だろう。

「にしてもサージュは宿で泊まるの大丈夫なのか?」

 こいつの過去を考えるとあまり外出するような性格じゃないと思うんだが、原因があった前に何度か止まったことがあるのだろうか?それだったら納得できるが、幼少期からそんな公の場に出るもんなのか?俺にゃわがんね。

「お兄様がいれば何処へでもいますし隣に常にいますから、お兄様がいれば安心ですし、お兄様がいればどんな状況でも大丈夫です」

「お、おう…そうか」

 この性格をどうにかせんとかなーり危ない気がしてきたぞ?

 しかし、疲れがあるので深く考えず王都に向かうことを先に考える。

 俺らは王都に向かうためにファレンス村に戻る事にした。

 来た道も変わらずと言った感じだ。

 しかし、ここら周辺の異変の影響だろうか。本来ならこの地域に咲くはずのない水色に光る花。

 森へ入る一本道の両端に咲き誇っており、それが夜の道を教える印となっていた。

「あの花は確か…」

「アクティースという花だ」

 俺が思い出す前にアクアマリンが答えた。

「えっと、確か夜にだけ光る花でしたっけ?」

 サージュが自身の知識を絞って言葉を出す。

 確かにこの花は夜に光る、だが若干違うな。

「性格には暗い場所で光るのさ、花びら自体に光源となる物質が入っていてね、それが光にある波長の刺激があると光らないのさ、だから暗い場所では光の刺激がなく水色に光る」

「なるほど…しかし、アクティースは同じ場所に多く咲いている状態で見つけられることが多いはずです。そうなったらアクティースの花同士が光を放って邪魔し合う形になりませんか?」

 良い着眼点だな、さすがは俺の妹。

 天才の名は伊達じゃない、俺の妹も頭が冴える。しかし、妹は魔法の扱いの方が得意分野である。知識についてはあまりっと言った感じだ。この場合は雑学に近いけどな。

「それがそうでもねぇんだよな」

 ずっとアクアマリンに答えてもらうのも申し訳ないので俺が答える。

「アクティースの放つ光はちょいと特殊でな、光自体が物質をすり抜ける程の波長なんだ。音も波長だが大きければ壁があっても聞くことができるだろ?それと同じようなもんだ。昼にみる光源の力小さくわかりずらいが、夜はその何十倍になっている。木数本をすり抜けた光は放っているだろ」

 そう俺がいうとサージュは周りをよく見る。

 なんか小動物が餌を探してるみたいで可愛いな。

「しっかし綺麗なもんだ」

「この時期でこれがみれていることが異常なんだがね」

「そりゃそうだわ」

 そんなこんなで俺らは夜道を歩く。

 そういや魔法やそういったものについての情報をラミナから教えてもらうの忘れてた。

 まぁ良いか。

 ファレンス村は朝より人が少なく電灯が街を照らしている。

 最近になって電気が村にも普及し始めたらしいが、普通なら遅い、上の連中は何考えてんだって騒ぐ奴がわんさか居るぐらいだ。

「えっと、今の時間は…十八時ですか。あと一本の汽車が十分後に来ますね」

「なら、早めに駅のホームに行くか」

 今日最後の汽車、こんな時間まで働くなんてな俺にはできない話。いやはや、お勤めご苦労。

 駅内は人がいなく静寂に包まれている。強いて言うなら駅員が二人いるぐらいだ。

 近くの椅子に俺らは腰を掛けて待つ事にする。俺が座るとその左右に二人は座ってくる。

 あらま、俺ってばモテる。じゃなくてだな?

 俺をいじめて何の得となるか聞きたいものだ。

「あのーお二人さん?どうして俺の左右に座っているのか伺っても?」

「お兄様が好きだからです」

「理由になってねぇな?」

「サージュ君がいるからね君の隣にいれば面白いことが起きそうだと思ったから」

「クソみてぇな理由だな」

 はははと笑うアクアマリン。

「いつか絶対ぶん殴ってやる、俺の渾身の右ストレートで沈めてやる」

「それは楽しみだね、そんなことが起きるとは思えないがね」

 こいつまじで俺のことを玩具にしてやがる。

 どうすりゃ良いんじゃこれ。

 俺にはどうしようもできないんだが?

 俺の血筋も凄ければ人生もすんごい濃い、その代わりに人間関係がゴミなんだが。

 そう俺らが会話のようなものをしていると汽車が通っている聞こえてくる。

「っとそろそろ時間だね、大体王都に着くのは20時くらいだろうね」

「なら空いてる宿もありそうだな」

 そう言い立ち上がる俺たち、汽車は音鳴らしながら俺らの前まで移動する。

「さて乗るか」

 中は今日乗った時と変わらずと言った感じだ。

 窓際の席に座ると当然のようにサージュが隣に座ってくる。向かい側にアクアマリンが座る。

 人は一人と居なく、夜景が窓から見え、揺れる感覚と汽車特有の音が響き続ける。

「遺跡についてはどう思っているのですか?お兄様」

「どう思っている…と言われてもな」

「お兄様が古代人類の末裔と言われて、遺跡の権限を貰って」

「……そうだな、現実味は無い。実感が湧かないのもある。だが、何処となく納得してしまっている自分がいるって感じだな」

「納得している…ですか」

「私としても少々驚いているよ、ジェスター君が魔法の技術を発展させた大元の人類の末裔だとはね」

「私たちは人ですから、古代の人の血は全員辿っていると思ったのですが、違うのでしょうか?」

「恐らく、一般人ではなく、その手の研究に携わっていた者達の血だろうね」

「研究者達の子孫ってか俺は」

 昔の研究者の子孫ねぇ、なら俺以外にもいるんじゃないか?数名いたとしてもおかしく無いと思うが、俺と同じように研究者達の子孫を探すのも一つの手だな、だがあくまで俺の目的はクラシクスの連中についての調査だ。

 実際、俺の旅の目的がそれだからな。だが、これは事が進めば進むほど大事になりそうだ。

「俺らの目的はクラシクスでもある。世界の謎を解明するのが俺らの目的じゃ無いんだ」

「理解しているよ、しかしクラシクスの存在は待っているだけじゃ分からないだろう?だから世界を旅しながら探すのも良いんじゃ無いかい?そのついでに遺跡探索ができれば君の存在についても知れそうだろう?」

「まぁ、そうだな」

 確かにそうでもある。相手のことを調べるとしたら俺らから動く必要がある。

 相手は殺しを余裕でやる集団、しかし居所が分からないのなら情報を集めようにも無理な話である。ならばクラシクスのことを世界各地で集めながら旅して、そのついでに遺跡について調べていけば良いか。

「…ん?」

 視界の端でサージュ俺の肩に頭を乗せている事に気づく。

「サージュ?」

 返事はなく、小さく寝息が聞こえる。

 というか良い香りするしサラサラした髪の感触もするんですが、どうすれば良いのでしょうか。

「…寝てしまっているようだね、無理もないだろう、濃い一日だったんだ。お嬢様にはきつい運動だろうからね」

「サージュは魔力と魔法の扱いに天才の中でもずば抜けて長けているが、体力はあまりない方だからな。それに今日は色々と情報が多く出過ぎた、理解するのもあって疲れたんだろ」

 どうしようもないので、そっとしたままにする。そのままアクアマリンと会話を続ける。

「そう言う君は大丈夫なのかい?」

「俺か?俺もかなり疲れているぞ、できればふかふかなベッドに潜り込んで一秒で寝たい気分だ」

「私にはそう見えないがね、それに君は基本訓練をしなければ引き篭もりをしていると聞いていたが、何処となく環境変化に慣れているように見える」

「買い被りすぎだ、俺はそんな出来る人間じゃねぇ。天才と言われているが、凡人かも知れないぞ?」

「君の言動から技術を考えると凡人とは言えないね、君は天才の部類に入る人間だ」

 俺に期待を寄せるのはやめて欲しいところだな。

 そのまま俺たちは黙ったまま時間が過ぎていく、ふと気づいた時に王都に近いことに気づく。

 そろそろサージュを起こしてやるか。

「おーいサージュ、そろそろ王都に着くぞ」

 揺さぶってみたら少し反応あり、そのまま起きて肩から頭を離す。

「ん、いつの間にか寝てしまっていたのですね…」

「あぁ、そろそろ着くし宿に泊まってから寝てくれ」

「はい…わかりました」

 起きたようだし、そろそろ移動する準備するか。

 数分すると王都内の駅で汽車は止まる。

 俺にとってはあまり慣れない汽車の揺れ、どうにも俺には心地良い雰囲気は合わないようだ。

 俺らが降りた後に見えた光景は月が上り、それが大きな駅のホームのガラス張りの天井から見える。

 月光は俺らを照らすが、周りの電灯や明かりもあってか、当たっていると感じにくい。

 そのまま俺らは城下町に行く、昼より大幅に人が少なく感じる。

 飲み会をするには早い微妙な時間なのかも知れない、飲み会とか縁がないから知らんけど。

 今は宿を探すとしよう。身分を隠す必要はもう無さそうだしな。

 とりあえずで近くの宿から聞いて回ってみるか。

 城内にある宿だからか、それか駅の近くだからか。小洒落ていてしかし、そこまで高級でも無く一般客向けの宿。

 逆に空いてなさそうだな。

 一応受付の人に聞いてみる。

「一泊取りたいのですが」

「一泊ですね、少々お待ちください」

 どうやら俺らの存在について気づいてないようだ。多分、姿を見た事ないのだろう。式典に出るのは主に俺ではなくサージュ、アクアマリンは研究者だ。まずそう言ったのに出ることもない、そして俺は言わずもがな面倒だからだ。

 サージュに関しても気づかないとなると大凡、この国ではなく他のところからきている可能性も無きにしも非ずって感じか。

 っと癖で他人のことを分析してしまった。人間観察しすぎると癖が出るな。

「確認したのですが一部屋しか無いようです」

 一部屋か、なら別々の宿に泊まるがいいか。二人をここに泊まらせて俺は近くの所でいいか。なければ最悪野宿すればなんとかなるだろ。

「んじゃ俺は別んとこ探してくるわ、二人はここに泊まっとけ」

 そう宿から出ようとするとサージュに襟を掴まれる。

「ぐえっ!?」

「情けない声を出すものだね」

「おい、俺の美声を悪く言うんじゃない、ドブネズミ並みの声を悪く言うのか、下から二番目ぐらいだぞ」

「それはもう最低じゃないか」

 失敬な、二番目なんだぞ。それにこの声は特質しているだろ、オンリーワンって言えばかっこいいだろ。

 ほら特別感出ただろ。

「お兄様、探さなくても三人で泊まればいいのですよ」

「…待つのだ妹よ、まず考えてもみろ。美女と美少女に男を放り投げてみろ、襲われるかもしれないだろ」

「かもしれないと言ってるじゃないですか、それにお兄様はヘタレですからしないと思いますし」

「おい」

 俺がヘタレだと?ふっ。

 事実だから否定のしようがねぇな。

「アクアマリンはそれでいいのかよ」

 ここで頼みの綱であるアクアマリンに……いやこいつの場合この状況を楽しんでそうだな。

「私は構わないよ、君たちを観察するだけで役得だからね」

 ほらな?思った通りだったよチクショウが。

「お兄様、早く行きますよ。あ、一部屋一泊でお願いします」

 ニッコニコなサージュだが、瞳にハイライトが無い。

 危機的状況である事が理解できた。

 受付の人はかなりビビってるように見えるが、気のせいではなさそうである。

「は、はい。こちらが部屋の鍵です」

 そう言い止まる部屋の鍵を渡してくる。

 サージュはそれを受け取ると俺の襟を掴んだまま部屋に連行してくる。

 いやだ!助けてくれ!俺をここに閉じ込めないでくれ!

 しかし、俺の悲痛な心の叫びは誰にも届かず、無念。

 俺ってこんなに決定権がなかったのか、人権って俺にあったっけ?

「あのーそろそろ襟持つのやめてもらって良いですか?普通に苦しいんすけど」

「なら自身のことを優先することを覚えてくださいね、ちゃんとベッドで寝てくださいね」

 …俺のことを知ってるからか、俺がやろうとすることを把握しているとはな。

 俺ってこんなキャラじゃないな、どうしたんだ俺。

「分かったから、そろそろ離してくれ」

 そう言うと渋々でもあるが離してくれる。いや、提案したのはそっちだからすって離してくれや。

 そうこうしているが部屋に入る。

 部屋はベッド二つだった。

 よしなら、まだ大丈夫だ。

 希望に満ちていく俺。

「お兄様、一緒に寝ましょう♡」

 絶念の思いにかられる俺。

 こんな状況が続くと情緒不安定になるわ。

「アクアマリンと寝てくれ頼むから、俺の心が持たないから」

「私としてはどちらでもいいからね」

「他人事だと思いやがって…実際他人事だからその反応は正しいんだけどな?」

「自問自答する流れかい?今の」

「うっせ、俺は自己完結することで定評があるんだ。人は一人じゃ生きていけないと言うが。一人で生きている奴はいるから破綻していると思うのだよ、つまり俺は自己完結していることによって一人で生きていけることにもなる。結論を言おう、一人で寝かせてくれ、お願いします」

「最後のために長い前振りを言うものだね」

「お兄様、それだから捻くれ者って呼ばれているのですよ」

「え?俺が悪いの?」

 今の流れで俺が悪い要素ありました?

 これが理不尽な世界、やっぱり俺は自宅のベッドに籠ることを選べば良かった。

 しかし、今悔やんだ所で何も無いのである。

「とりあえず、飯の時間だろ?部屋に行く前にメニューと時間を見たが、そろそろだぞ」

「パッと覚えられるのですね」

「まぁな、それで飯はビーフシチューだそうだぞ」

「では私たちもいただきに行きましょうか」

「そうだね、私とて食事をしなければ集中ができないからね」

「お兄様も行きましょう?」

 そうサージュとアクアマリンが扉前で待っていた……が。

「悪い、腹減ってないんだわ」

「でも、食べないといけませんよ」

「一食くらい大丈夫だ、俺のことは気にしなくて良い。お前らはお前らで食ってこい」

「そう、ですか」

「本当に大丈夫なんだね?」

「あぁ、心配すんな」

 そう言うと二人は部屋から出ていった。

 正直言うと魔力が少し減ってるんだ。

 一人残された俺は静寂に包まれた部屋の中でため息を吐く。

 動くままに部屋にあるベランダに足を運ぶ、夜に見える街の様子は明かりと人の声で賑わっていて眩しかった。

 ベランダにある柵に寄りかかって。

「……肉は苦手なんだよ」

 そんな子供みたいな言葉で食事を断ったのだ。

 少しばかり時間が過ぎた後、俺はベッドに転がり静かに目を閉じた。

 疲れが溜まっていたのだろうか、色々あり過ぎたせいだろうか、一分と経たずに俺の意識は落ちていく。

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