第四章  《お告げ》

第十五話  《走馬灯》



 夢を見る。


 それは、とても長く儚い夢だ。


 それは、とても長く儚い過去だ。


 誰かが、私を呼んでいる。

 呼ぶ、声が聞こえる。


「起きて!!!」


 唐突に頭に響く叫び声に私は飛び起きた。それと同時に、膨大な時間が流れていく。必死に頭痛に耐えながら、一日が過ぎていった。



<><><><><>



「ここはどこだろう?」


 目を覚ました場所、そこは暗闇だった。

 薄暗い部屋というより、光のない真っ暗な空間で魂だけのような感覚だ。


 体が、動かない。


「一体どうなっているんだろう」と、しばらく考えていると、突如文字が浮かび上がってきた。


「あなたの名前を教えて下さい」


 いきなり光が現れた。とりあえず答えてみる。


「私の名前はシャルティスアン・フィンジェテイリーです。」


 なんとも人間味のない文を送ってみる。


通知  所要時間 0.2秒


 すると、通知が送られてきた。


 "所要時間"は返信までにかかった時間のことか?それにしては早すぎる。


 確かに、頭に思い浮かべると確認メッセージが来てすぐに送れた。それはそれで怖い。けど、確認メッセージの返事をする間に0.2秒なんて経ってしまう。


 そんな考察を巡らせていると、再びメッセージが来る。


「今の西暦を教えて下さい」


 送ってきた人はタイムマシンでも使っているのだろうか?日付を聞くことはあっても西暦を聴くことは滅多にない。そもそもとして私は閉じ込められているため、西暦は分からない。


 とりあえず最後に聞いた西暦を言ってみる。


「今は西暦2943年です。」


 やはり味がない。

 人間味がない。

 私は人間なのだからもっと人間らしい文が書けるはずなのに。


通知  所要時間0.4秒


 また、通知がきた。


 色々と考えながら回答したから、いつもより時間がかかった。



<><><><><>



 しばらく私は質問されて答えることを繰り返しながら、


 ここはどこなのか

 誰と話しているのか

 質問の意味は何か


 深く、考えていた。

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