第一章 《幸福な夢》
第二話 《学びの場》
私たちは、孤児である。
親がおらず、身寄りのない子供だ。
この学校は、そういった子供たちのための学校。同じような境遇の子供たちが集められている。
学校にいる間は、無償でサービスを受けられ、大人になってから返せ、という形をとっている。
そんなことで、どうして経営がうまくいくのか、私には甚だ疑問だが、それを知る術もないし、知ったところで、この学校にお世話になっている身として、何かする気も起きないのだが。
今は、すこし古めかしい校舎の中だ。
新入生同士で、自己紹介をしている。
とはいえ、たった6人の前で話すのだ。そうそう緊張するようなことでもないだろう。
「私は、シャルティスアン・フィンテジェイリーと言います。長いのでシャルフィーと呼んでください。これからよろしくお願いします。」
私は、短めに終えて、席についた。
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学校が終わった。
まぁ、残りは設備の紹介でほとんど授業らしい授業もなかったのだが。
玄関を抜け、部屋の扉に手をかける。
「ただいまー!」
返事がしないということは他の人は帰っていていないということだ。
ゆっくりと歩を進めると何かが飛び出してきた。
よくよく見ると・・・ルームメイトのニラプーだった。
「うわぁ!」
「えへへ、作戦成功!」
「もう!驚かせないでよ!」
「それは約束できないなぁ、だって私の生きがいなんだから。」
すっかり、驚かされてしまった。
皆さんにとって、「生きがい」というこの言葉は、どれほど大切だろうか。
生きる希望のない、私たち孤児にとって、これのあるなしでずいぶんと精神の落ち着きようが変わってくる。
彼女からも、また、底知れぬ何かを感じた。そんなところを目の当たりにすることはここにいればよくあることだ。それでも、思わず目を背けたくなるのは私が弱いからだろうか?
気づくと、必死になって、話題を変える自分がいたのだから。
「もう、名前を書き終わったの?」
「もちろん!」
机の上に並べられたのは、今日配られた教科書だ。
全てにニーディング・ランプーと書かれており、記名が終わっているように見える。
それなりに急いでいた私より早く帰り、
更には、教科書の記名まで終わらせている。
一体、どれだけ急いだのだろうか?
部屋に散らかった制服から慌てようがわかる。そこまで大変ならやらなきゃいいのに。
「私にとっては大事なんだよー!」
心を読んできた。きっとエスパーだ。
そうして、また1日が終わった。
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