序章  《起床》

第一話  《起床》


 そっと、目を開ける。

 目を覚ました場所は、みたことのない場所だった。 薄暗い部屋というより、光のない真っ暗な空間で魂だけになったような感覚だ。

 体が、動かせない。というよりは、体がなくなっている。そんな感覚がある。

 まだ、何も見えていない。それは、目が慣れていないのか、部屋が暗いのかわからない。


「ここは...どこなんだろう...?」


 しばらく考えていると、突如文字が浮かび上がってきた。


【あなたの名前を教えて下さい】


 一体何処の誰から送られてきたのだろう?

 とりあえず答えてみる。


「私の名前はシャルティスアン・フィンジェテイリーです。」


 なんとも人間味のない文を送る。


【通知  所要時間 0.2秒】


 すると、通知が送られてきた。

 "所要時間"は返信までにかかった時間のことだろうか?それにしては早すぎる。


 確かに、頭に思い浮かべると確認メッセージが来てすぐに送れた。それはそれで怖い。でも、確認メッセージの返事をする間に0.2秒なんて経ってしまう。だから、そんなことはありえない。とすると、一体何が当てはまるだろうか。そんな考察を巡らせていると、再びメッセージが来る。


【ではシャルフィー、今の西暦を教えて下さい】


 送ってきた人はタイムマシンでも使っているのだろうか?日時を聞くことはあっても西暦を聴くことは滅多にない。そもそもとして私は閉じ込められているため、西暦は分からない。とりあえず最後に聞いた西暦を言ってみる。


「今は西暦2943年です。」


【通知  所要時間0.4秒】


 また、通知がきた。今回は送ってきた人がどんな人なのか考えながら回答したから、いつもより時間がかかった。ちなみに、予測はできていない。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る