秋
ある日の出来事だった。
俺は昼休みに先生に進路のことで呼び出されていた。
進路室に行くためには月澄の教室を前を通る必要があり、月澄と他女子二名と話している会話の内容が聞こえてきたのは偶然だった。
「はぁ、もう高校生でいられるのもあと少しかぁ〜。」
「そうだね〜。」
「ってかさ、月澄。あの盾くんと付き合わないの?」
「あ、それはそう。月澄。どうなの?教えなさい!!」
俺は反射的に三人からは死角になる場所に立ちバレないように覗いた。
(どうか、俺のことを...)
「うーん。一番仲のいい男友達かな。」
「うっそダァ。」
「いや本当だって。」
月澄は嘘をついている顔をしていなかった。
「私は今の関係がすっごく好きなの。それに翔太にも失礼でしょ。」
「...ねぇ、A子。この子すごい鈍感?」
「......B子。ここまでとは私も思ってなかった。」
翔太は月澄の眼中にないことを知り静かに進路室に向かった。
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