夏
「「引退おめでとうございます。」」
今日は部活動最後の日。
カラオケでお別れ会的なものをするのが伝統だ。
「月澄先輩、それでは一曲目どうぞ!!」
「...どぞ。」
やや無口なのは一年の後輩だ。
「〜♪」
歌うまっ!今までは人前で歌うのは無理とか言って避けられてたから初めて月澄の歌声を聴いた。
「〜♪。...どうかな。」
「すごいっすよ。先輩。歌うますぎ。」
「...天才。」
「へへーん。どうよ。それじゃあ次どうぞ。」
...腹を括るか。
先に言っておく。俺は音痴だ。この後の展開はご想像にお任せする。
ちなみに3人のコメントは、
「...先輩って歌の師匠にジャイアンって人いました?」
「...無能。」
「翔太...吐きそう。」
ごめんなさい。
カラオケからの帰り道。
「そういえば、先輩の腕の傷、目立たなくなりましたね。」
半袖Tシャツを着ているので誰にでも傷跡が見える。
「ああ、良かった。良かった。でもなぁ、傷があった方がなんかかっこよくて好きだったなぁ。」
「...厨二病。」
今ではあの事件は笑い話にできるほど風化した。たった一人を除いて。
「...。」
「おーい。月澄、はぁ。もう気にしなくて良いって。」
「だって...。」
「俺は元気だからさ。それに...騎士役になれて嬉しかったのもあるし。」
「え、最後なんて言ったの?」
「いやいや、何でもないよ。そろそろ帰ろっか。」
「うん、そうだね。」
「先輩さぁ、絶対今告白したらOK貰えてたよね。」
「...ヘタレ。」
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